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研究課題持ち込んで=岐阜の農高生10人、2週間滞伯へ

ニッケイ新聞 2006年7月20日付け

 平成十八年度岐阜県農業高校生海外実習派遣団(本田裕団長)が、十五日、来伯した。イタペチ植民地や山田勇次農場で農業実習を、ポンペイアでは農工高校生と交流、クリチーバでは無農薬農場の見学を行う。十六日に岐阜県人会(山田彦次会長)主催のフェイジョアーダ会に参加した派遣団一行は「初めて」の味を堪能。日本からのお土産を賞品にしたビンゴを行い、県人会員ら百人弱との交流を楽しんだ。
 今年で二十八年目となる同派遣事業。派伯された高校生の人数は今回で三百人を越えた。今度来伯した十人の高校生は、それぞれがブラジルでの研究課題を用意し、十四日間の滞在中にブラジル農業の現状を学ぶ。
 「考え方の違いなど日本で得られないことを学びたい。五感を働かせて各地の若い世代の考え方を聞いてきたい」と抱負を語るのは高校生代表の服部竜之介さん。家業がキュウリ農家であることから、キュウリを主としての有機農法を研究テーマにしている。
 拓殖啓太さんは「水の豊富な日本とは異なると思う」と水資源の確保について考える。森川武史さんは石油に替わるエネルギーとなり得る、さとうきびについて勉強したいという。
 また大野景子さんは流通と生産物について、山口智美さんは施設栽培と流通について研究を進める。
 「お菓子関係の仕事につきたいから」と乳製品の消費が多いブラジルで牛乳の利用のされ方の見識を深める西尾正治さん。
 佐藤拓真さんは日本の農業は購入飼料がほとんどであることから、ブラジル国内での飼料状況について。西尾優子さんは「環境保全型農業を考えたい」と牛乳の生産設備について調べる。
 「農業のこと以外も学びたい」と話すのは岡崎俊輔さん。「頭を真っ白にして学ぶこと。ブラジルで視野を広げ、大きな夢を描けるようになりたい」。県人会員との会話で「ブラジルに誇りを持っている」と感じ「海外に出たからこそわかる日本のよさを見つけたい」と語った。研究テーマは水資源のサイクル。
 山口大作さんは「ブラジルから岐阜に取り入れることのできる技術を」との展望を持ち、実家の農業規模を拡大するときの参考のため大規模農場の経営について学ぶ。
 派遣団は、事前に三回の勉強会を実施。大規模農業や灌漑についての知識を深めた。ポルトガル語や盆踊りの練習も行い、県内のブラジル人学校を訪れ、在日ブラジル人とサンバを踊った。
 今年のテーマは「手をつなごう。世界の農業高校生」。本田団長は「ブラジルの農業を知り、現地の高校生と交流することで十年後、二十年後の農業に役立ててもらいたい」と、海外実習に期待を込める。
 一行は二十八日にオランダへ向けて離伯し、八月四日、日本に帰国する。

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