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またオレオレ詐欺=「息子が警察沙汰で」

2006年8月9日付け

 「おたくの息子が日本で警察と喧嘩して罰金になった。息子を留置場に入れたくなかったら、今から取りに行くから八千ドルをすぐに用意しろ」。先週木曜日(三日)の昼前、そんな電話がサンパウロ市在住の父親(七十歳、戦後移住者)のところにかかってきた。
 しかも「サンベルナルドの総領事館の職員」を名乗っていた。もちろん、同市に総領事館は実在しない。
 七十歳、戦後移民の父親は思った。「確かに、息子は名古屋へデカセギにいっている」。電話の相手はけっこう上手な日本語をしゃべった。しかも父親の名前、息子夫婦の名前を知っていた。
 相手は「今からお金を取りにいく」と急かす。「日本から電話をかけている」というので、父親は「息子に電話を代わってくれ」と注文すると、聞き覚えのない男がでて「風邪をひいて声が嗄(か)れてる」という。ふだんからNHK国際放送でオレオレ詐欺のニュースに接していた父親は即座に怪しいと感じ、電話を切った。
 十分後、名古屋の息子の番号にかけると、本当に件の男が出て、父親は驚いた。今度は親戚の家から、やはり名古屋に行っている自分の弟に電話し、そこから息子宅に連絡してもらうと嫁がでて「夫は普通に仕事に行きました」という。
 このオレオレ詐欺の犯人は、片言の日本語をしゃべり、日系人名を名乗ったことから「二世の可能性がある」と父親は感じている。
 幸いにして実害はなかったが、「ほかの人にも起こる可能性がある。注意を喚起したい」と考え、この戦後移住者はことの顛末を公表した。「考えるヒマを与えずに、その日のうちに銀行に振り込ませたり、お金を用意させるのがオレオレ詐欺の特徴。そのため午前十時から正午までに電話がかかってくることが多いそう。みなさんも気をつけてください」と呼びかけた。

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