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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2006年8月10日付け

 「ゴミも落としすぎ、マナーがないわ」―。聖地アパレシーダの巡礼を取材したときのことだ。
 隣のおば様がバスから降りてこうぼやいた。ガムや煙草の吸殻がバシリカの入り口まで散在していた。「ここは本当にブラジルカトリックの聖地なのだろうか」。
 半そで、短パン、へそ出しTーシャツ姿の若い女性たちが、教会へガヤガヤと入っていく。ブラジルの信仰の拠り所と聞いていた「教会」には、記者がイメージする「静寂」と「荘厳さ」はなかった。そこはただの「観光地」だった。
 情報センター有り。巨大駐車場あり。売店有り。溢れ返る物売りたち。いたるところで安売りされる土産用のノッサ・セニョーラ・アパレシーダ像。黒い顔から涙だ。
 本来、カトリックにしろ仏教にしろ、慾や煩悩と対極のはずだ。聖地アパレシーダ。そこに真の信仰心はあるのか。(泰)

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