ホーム | 日系社会ニュース | 日本語の本=売上げ減少顕著=ここ数年で半分に=ビデオ、マンガ貸し出し=客あり、10年値上げせず――老舗「カーザ・オノ」の場合――

日本語の本=売上げ減少顕著=ここ数年で半分に=ビデオ、マンガ貸し出し=客あり、10年値上げせず――老舗「カーザ・オノ」の場合――

2006年9月6日付け

 サンパウロ市リベルダーデ地区にある老舗「カーザ・オノ」。同店は、日本で最近出版された雑誌や本、マンガなどを販売するほか、貸本・ビデオコーナーを設けている。コロニアの貸本・ビデオ事情の「今」を店員の山下誠司さんと矢馬世望さんに聞いた。
 東洋人街の目抜き通りであるガルボン・ブエノ街。その緩やかな坂道の途中に店はある。入り口には日本の週刊誌がきれいに並べられ、奥には魚屋や弁当屋なども軒を連ねる。
 トマース・ゴンザーガ街の支店が閉まり、現在の店内に貸し本・ビデオコーナーが移ったのは四年ほど前。移転前は同コーナーだけでも六人の従業員が働くほど忙しかったという。「朝八時の開店前からお客さんが並ぶこともあった」ほどだ。現在は基本的に山下さんが一日、矢馬世さんと佐野マスミさんの二人の女性が半日交代で働いている。
 邦字の本がよく売れたのは六〇年代から八〇年代前半にかけて。「駐在員がお客としてよく来ていた」という。しかし、時代は進み日本企業の撤退や読者の高齢化なども影響して、客足は年々減少。ここ数年だけでも売り上げは半分以下に落ち込んだ。「日本語を読める人もだいぶ減ってしまいましたね」と山下さんは少し悲しそうだ。
 とはいえ、同店は現在も一般小説などを約千冊、マンガは五千冊以上、ビデオも四千本以上を揃える。「バカボンド」や「るろうに剣心」「ドラゴンボール」など、日本やブラジルの若者に人気のマンガをはじめ、「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」などのビデオも多数用意している。サスペンスものや日本で人気のバラエティー番組も多い。毎月新しい本やビデオが日本から届けられており、充実した品揃えだ。
 現在人気のビデオは「冬のソナタ」などでお馴染みの韓国ドラマ。貸し出しはしていないが、本の販売では「文芸春秋」が分量の割には手頃で内容も良いと、昔から人気ナンバーワン。マンガでは一世の常連が、「味いちもんめ」や「三国志」などの料理ものや時代ものを好んで借りていくという。
 同店の貸出し料金は、「安すぎて元が取れないくらい」だ。本の厚さに関係なく定価によって料金は決まっており、マンガ一冊(約四百円)なら一日約一・二レアル。一週間借りても二・五レアルほど。ビデオは三日で一本三レアル、一週間の貸し出しで四・五レアル。五本以上借りると、一日一本二・四レアル、一週間では三・六レアルの割引料金になる。日曜日は貸出し期間に入らないため、週末前にまとめて五本以上借りる人も多いようだ。客足が年々減っているとはいえ、十年間おなじ料金を通している。
 「新しいものから懐かしいものまでたくさん用意しています。ぜひ一度足を運んでみてください」と山下さんと矢馬世さん。ぶらっと立ち寄っての立ち話も歓迎だ。
 営業は月曜から金曜日は朝八時から夕方六時、土曜日は午後一時まで。日曜定休。問い合わせは(電話11・3209・2286)まで。住所はガルボン・ブエノ街364。

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