個人データ購入=PT幹部の関与濃厚=総裁含む選挙陣営=選挙高裁は大統領の関与調査へ=データ内容に新味なし
2006年9月21日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】対立候補の個人データを購入しようとした労働者党(PT)党員を逮捕して取り調べている連警は、その後の捜査でPT総裁を含む複数の幹部が関与している疑いが濃厚になったことで、捜査の手を広げて本格的な追及を始めた。これらの党員がルーラ再選に向けての選挙陣営の執行部であることから、選挙高裁はルーラ大統領の関与を調査することを決定した。もしクロと断定されれば立候補はく奪処分となる。バストス法相の身辺も平行して捜査されることになり、選挙を十二日後に控えて、異例な事態に発展している。
連警はデータを購入しようとして現行犯逮捕した元PT党員二人と、それを指示したとされる元大統領特別補佐官(事件発生後、解任された)の供述をもとに、複数のPT選挙執行部員が絡んでいることをつきとめ、捜査を開始した。この中にはベルゾイーニPT総裁も含まれている。
連警の調べによると、PT陣営は、サンパウロ州知事選で優勢を伝えられているセーラ候補が前政権での保健相時代に救急車スキャンダルに関与していたことを立証するため、データ購入に走ったという。それにとどまらず、週刊誌に暴露記事を掲載させるべく工作した疑いもある。
ベルゾイーニ総裁が労働相の時に労働次官を務めたバルガス氏が、エポカ誌にたれこみ記事を持ち込んだが功を奏せず、イストエー誌に乗り換えた。このいきさつを総裁はすべて関知していたという。
これを受けて選挙高裁は、選挙法違反の疑いが深まったとして、独自に調査することを決定。連警に対してこれまでの捜査資料と証拠物件の提出を言い渡した。大統領特別補佐官が渦中の人物だったことから、大統領の身辺も調査することになった。また、バストス法相が押収したデータ買収金を公表しなかったことで、連警の捜査に横槍を入れた可能性もあると見て、調査対象とすることも決めた。この決定は十九日、関係者に通知され、釈明の機会が与えられた。
国連の年次総会出席のためにニューヨークを訪れているルーラ大統領は十九日、記者団のインタビューウで怒りをあらわにして、このような卑劣な手段は「最も嫌悪すべきこと」だと強調し、過去に敗北した選挙でも対立候補に不利なデータを入手しながらも、一度も利用しなかったと述べた。その上でほぼ再選を決めていることに対し、野党が選挙無効を画策してのデッチ上げ事件だとの考えを強調した。
バストス法相は捜査と選挙は切り離すべきだとした上で、連警の札束未公開は捜査の守秘方針に基づいたものだと釈明している。
一連の疑惑で関係者は謎に包まれている部分が多いとし、大統領特別補佐官が独自の判断で行動したのか、その狙いは何だったのかと疑問を投げかけている。さらに連警が押収したデータを検文したところ、内容はこれまで公表されたもので、目新しいものは皆無だったことで、選挙のかく乱をねらったものなのか、腑に落ちない点があるという。