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東西南北

2006年10月4日付け

 投票所に向かう有権者は、一票を投じるまで考えが二転三転するらしい。立候補者にとって統計と調査は、どっちが重要で頼りになるか煩悶するようだ。一日の開票結果の報道は、ルーラ大統領が四九・七八%まで漕ぎ付けた。もう一息で当選と手に汗を握ったが、終盤で番狂わせが起きた。アウキミン候補の支持率調査は三八%に留まり、いざ開票で四一・六四%に追い上げるとは全調査機関が誤算した。
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 ブラジルでは選挙の日を、豹が水を飲みに来る日という。豹は四年に一回しか、水を飲ませてもらえないので喉がカラカラに渇いている。豹とは有権者。立候補者はこの日、頭が地面に吸い込まれるほど平身低頭しなければならない。
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 連立を組むのか組まないのか噂がかまびすしいPSOL(自由社会党)。エロイザ・エレーナ候補は、どことも連立を組まないから、決選では支持者が自由に誰にでも投票するよう呼びかけている。ルーラ大統領は、エレーナ候補が随意投票を宣言しながら実際は禁欲主義者だという。同候補のPTに在籍時代、党方針を打ち上げたにも関らず自由行動を採った。しかし、誰がどこへ票を投じたかは、几帳面に調べていた。
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 大統領選候補は二人に絞られたが、財政政策の内容や減税の具体的設案、社会保障院の改革案、経営環境の改善など両人とも明らかにしていないと経済評論家がこぼしている。候補者は、選挙参謀の指示に従い得票につながることしかいわない。国家の命運に関る難しいことは避け、国民が理解できチョコチョコと感性をくすぐるようなことを言うのが選挙らしい。それが世界共通の民主政治といわれる。

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