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ファベーラで交流=大相撲力士=珍しい「まわし」姿=迫力のぶつかり稽古=孝東ら3人「よかった」

2006年10月4日付け

 【既報関連】八日サンパウロ市で開催される第三回UPS相撲大会に参加するため、先月二十八日から来伯中の現役三力士が二日午後、サンパウロ市南西部に広がるファベーラ、モンチ・アズールを訪れ、同地に暮す子どもたちと一緒に相撲をとるなどして交流をおこなった。日本の力士がブラジルのファベーラへ交流しに訪れたのは初めて。
 正午すぎに到着した一行は昼食後、まわし姿に着替えて、バスケットコートにつくられた特設のマットの土俵に登場。はるばる日本からやってきた力士らを一目見ようと、子どもや親らがいっぱいにつめかけた。子どもらは大きな尻が出たまわし姿に驚きながらも、大歓声と手拍子をもって迎え入れた。
 元十両力士(若東)でUPS会長の黒田吉信さんの解説にあわせて、力士らはしこ踏みや股割りなどを披露。ぶつかり稽古のデモンストレーションでは「バチン」と体と体が激しくぶつかる音が会場に響いた。豪快な投げ技を食い入るように見ていた観客は、本場の迫力に驚きながらも大喜びだった。
 デモンストレーション後は、元気あふれる子どもたちが力士たちに相撲を挑もうと長い列。五人一組になって何倍もの大きさがある巨体に力いっぱいぶつかっていくと、会場は大きな声援で包まれた。力をあわせて力士を土俵外に追い出すと、子どもたちは手を上げて喜んでいた。
 初めて相撲を経験した九歳の少年は「彼らはすごく重たいよ。ぼくはやられちゃったけど」とはにかんだ。まわしを締めてみたいかという質問には「ノン、ノン、恥ずかしいよ」と照れ笑いしていた。
 交流後、ブラジル出身で入門三年目に初の里帰りとなった孝東さん(25、玉ノ井部屋)は、まわりに溢れかえる子どもたちの質問にポルトガル語で答えながら、「おもしろかったですよ」と笑顔。三度目の来伯となる豊乃国さん(27、時津風部屋)も「元気すぎるくらい元気。みんなよかったよ」と汗をうかべながら満足した様子だった。
 黒田さんは「もうちょっと(子ども達が)言うことを聞いてくれればよかったけど、エネルギーに溢れていてブラジルらしくていいね」と交流に手ごたえを感じた様子。南米出身の関取が現在不在であることにも触れて、「こういうところから相撲をやる子がでたらいい。ブラジル人はスポーツ万能だし、持ち前のハングリー精神をもってやれば、ヨーロッパ出身の選手たちにも勝てるよ」と大きな期待をこめていた。
 一行は八日の大会まで日系の福祉施設や各学校を訪れ、九日帰国する。

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