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輝ける未来の出発点に=県知事、議長を迎えて=島根県人会創立50周年

2006年10月10日付け

 在伯島根県人会(安達敬之助会長)創立五十周年記念式典が八日、同県人会交流センターで行われ、ゆかりの約三百人が半世紀の節目を祝った。母県からは澄田信義知事、倉井毅県議会議長、山陰中央新報社の山根常正社長を始めとする三十人以上の慶祝団が駆けつけた。西林万寿夫在聖総領事、ニューヨーク島根県人会の宮本サミー会長、長年同県人会に協力してきたブラデスコ銀行からは木村オラーヴォさん、各県人会長らが出席した。祝賀会では、郷土芸能研究家の荒木八州雄さんが「安来節」を披露、会場からは、やんやの喝采が送られた。
 日ブラジル歌斉唱、平成学園の児童らによる島根県民の歌に続き、先没者に対し、一分間の黙祷が行われた。 安達会長はあいさつのなかで、十八人の発起人により一九五六年に創立した県人会の歴史や、会館建設の経緯を振り返った。
 県関係者に研修制度の継続を訴え、「県人会として百周年事業に協力したい」と締めくくった。
 今回四度目の来伯となる澄田知事は、移住者たちの苦労に深く敬意を表し、南米から、七十九人の県留学生、技術研修生を受け入れていることを報告。「世代が替わると県との絆も薄れがちだが、今回を機に、輝ける未来を作る出発点になれば」と県人会とのさらなる関係を誓った。
 倉井議長は、「〇八年の百周年を二年後に控え、県としても在伯県人との人的ネットワークにより相互交流を深め、両国の発展に寄与したい」と話した。
 山陰中央新報社の山根常正社長は、訪伯団募集や会館建設の募金活動を展開するなど、県人会との「深いつながり」を強調、関係を再確認、「今回の五十周年も大きく報道したい」とした。
 県海外移住家族会の岸本喬顧問は県内自治体から寄せられたメッセージを読み上げた。西林万寿夫総領事、松尾治県連会長らもあいさつした。
 続いて、澄田県知事表彰が行われ、日伯の交流に尽力したとして岡田喜一(創立会員)、鶴賀栄治(名誉会長)、安達敬之助(会長)の三氏が国際交流部門で表彰。十年以上役員を務めた十人が功労賞、七十歳以上の三十七人が高齢者表彰を受け、それぞれに賞状と記念品が贈られた。
 受章者を代表し、敦賀名誉会長が謝辞を述べ、知事からの揮毫、江津市から贈呈された神楽面があることなどが報告された。
 なお、教育文化紋章協会から、澄田知事、倉井議長にコメンダドール章が贈られた。
 〇三年度県費研修員として島根を訪れた平方アリソンさんは、「日本で経験したことはブラジル社会、県人会で活用していきたい」と話した。

故郷の安来節に喝采

 午後から行われた祝賀会では、澄田知事により乾杯の音頭が取られ、ケーキカットも行われた。祖父母が県人のコロニア歌手、伊藤カレンさんがステージに立ち、こぶしの効いたのどを聞かせた。
 余興では、郷土芸能研究家の荒木八州雄さんが会場を沸かせた。健康銭太鼓体操や、年季の入った安来節の振りつけを会場に説明しながら披露、「安来節を是非、ブラジルに伝えていってほしい」と舞台に上がった数人に独自の認定証を手渡した。
 会場を巻き込んだ炭鉱節では、大きな踊りの輪ができ、県人会喜びの日は笑顔で包まれた。
 いまも健在な唯一の創立会員、岡田喜一さんは、「モルンビーの田舎のシャカラが最初の会合だった」と創立当時を振り返り、県人会と県のつながりに一層の期待を懸けていた。

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