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◇コラム 樹海

 グァタパラ文協は、さきごろ、先亡者たちの遺骨の収納・慰霊に一区切りつけた▼今度は、文協百周年委員会が、同地に配耕された戦前の日本移民の足跡を調査しようと行動を起こしている。これは、有言実行である。というのは、百周年を単なる祭典にとどめず、記念事業の一つとして、百年の史実を文字にして残すことを部内で合意し、発表していたからだ▼委員会が今しようとしているのは、グァタパラ耕地の歴史において、笠戸丸移民以降、日本人移民がいかに生きたかを調べることだ。笠戸丸移民たちが出たあと、日本人移民が、同地に来なかったのではなかった。契約農としては働いた時代もあったし、その後もあった。ただ現移住地の一世たちが戦後六〇年代に入植するまでの間の事情は不明だ▼委員会の一行は、さきごろ、耕地事務所に半ズボンのころから働いていたという非日系人をピラシカバに訪ねた。七十歳のその人は好意的で、グァタパラから持ってきた書類があるという倉庫に連れていってくれたが、書類は小鳥の糞にまみれ、時代的に新しいものであったり、職員の出勤簿、支払い書のようなものばかりで、日本人の名簿に類したものは発見できなかった▼一行は、その足で、耕地に関わりがあるとされるアラーラ市のマルチニョ・プラード図書館をも訪問した。縁の歴史学者にも会えた。だが「資料」はなかった。史実資料集めの前途は厳しいようだ▼だが、委員会は今回の行動を「収穫」とし、希望を見い出している。(神)

2006/10/11

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