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治安悪化する福博村=スザノ=強盗被害が頻発=老人ねらう卑劣な輩=村を離れる人も

2006年11月1日付け

 今年七十五周年を迎えたスザノ福博村が治安の悪化に悩まされている。高齢者だけで暮らす家が強盗に襲われるケースが増えてきており、十月二十三日にも、村に住む七十七歳の男性の家に四人組の強盗が押し入り、現金五万ドルと車などが奪われる事件が起きた。老人をねらう卑劣な強盗事件。頻発する被害に、地元でも有効な対策を打ち出しかねている。
 地元紙「ジアリオ・デ・スザノ」(十月二十五日付け)によれば、事件が起きたのは二十三日の午前三時ごろ。村に住む男性(77歳、一世)宅に武装した四人組の強盗が押し入り、現金五万ドルのほか、車や防犯用の拳銃などが奪われた。男性は縛られ、夫人が殴打された。
 強盗らは覆面姿で、入口の戸を蹴破って侵入。家財を奪うと、被害者宅の車を奪い逃走した。車は後日、市内に乗り捨てられているのが発見された。
 村会関係者によれば、三カ月ほど前にも、会員宅を狙った強盗事件が起きている。容貌、手口などから同一グループによる犯行との見方もある。強盗以外にも金を狙ったこそ泥被害も出ているようだ。
 現在の福博村会会員は約百家族。子供の世代が町で暮らすようになったことから、村の過疎化とともに入植者の高齢化が進んでいる。そこを付け狙うかのような卑劣な強盗事件だ。子供に説得されて、住み慣れた村を離れる人もいる。
 被害が出始めたのは三年ほど前のことだという。「軒並みやられていますよ」、自身の家も強盗に侵入された経験をもつ地元関係者の言葉が問題の深刻さをうかがわせる。
 犯人らは被害者に暴行を加え、家財を奪う。このたびの事件は夜中だったが、昼間に襲われた例もあり、犯行時間帯はまちまちだ。家によっては数度にわたって襲われたところもある。
 治安悪化の問題は、七十五周年を記念して二十八日に行われた歴代会長による座談会でも取り上げられた。
 「家の囲いを厳重にする」「各戸の連絡を密にする」などの案が出されたが、決め手となる対策が見出せないのが現状のようだ。
 「駐在所があれば、少しは良くなるのだが」と別の村会関係者は話す。現在、村会会館のあるイペランジャ区には警察署はなく、数キロ離れたパルメイラス区に分署があるだけ。警察による定期的なパトロールは、地域が広範囲にわたることや、都市とは異なり効果が薄いことなどから行われていない。現時点では「自分の身は自分で守る」しか手立てがない。
 村会では治安対策として、会員宅に防犯サイレンをとりつけている。近隣住民がサイレンを鳴らし合って異常を知らせ、被害者宅にかけつけることで、被害を最小限に抑えた例もあるという。
 福博村では、一九八〇年代後半から周辺への不法侵入が増加。村の周囲にファベーラが構築されており、現在その数は七百家族以上に上ると見られている。
 強盗事件との関係はわからない。地元の人の中には「ファベーラができて治安が悪くなったとは言えるが、強盗犯人もファベーラから来ているかというと、そうとも言えないと思う」と、他所から犯人が侵入している可能性を指摘する人もいる。

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