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〝日本の味〟残るブラジル=JATAK派遣の今田さん=一カ月の活動振り返る

2006年11月8日付け

 JATAK(全国拓殖農業協同組合連合会、馬場光男サンパウロ事務所長)からの派遣専門員、今田みち子さんが、約一カ月間に及ぶ活動を終え、十月三十日にADESC(ブラジル農協婦人部連合会、吉泉美和子会長)の本部で活動報告を行った。「日本の味を大切にしていきたい。ブラジルに来て、働く仲間の気持ちは同じだと安心しました」。今田みち子さんはADESCの支部など十三カ所をまわり、三日、帰国の途についた。吉泉会長は「本当にいい一カ月間でした。また頑張ろうと心新たにしています」と感激していた。
 JATAKの専門員が来伯したのは四年ぶりのこと。今田さんは、JA婦人部に所属し、三十三年間、生活指導員として日本国内の支部をまわった。自給運動を軸に、農産物の調理、農産加工品の具体例などの講演を行ってきた経験を持つ。
 四年前にJAを早期退職し、自宅を開放して、農家レストラン「楽舎(らくや)」の経営を開始。「日本で受け継いできたものを大事にしたい。今、この時期にきちんとしたものを残しておきたい」との思いから、農産品の付加価値作りを考え始めた。「身近なものを使って、地産地消の実現を」と訴える。
 来伯してから一カ月の間で、休みはたった三日のみ。サンパウロ市内、レジストロ、ジャカレ、イグアスやリオにも訪れ、漬け物、しそ巻き、かぼちゃや大豆を扱った調理の指導を行った。
 グァタパラでは文協婦人部のメンバーを集め、三十三人が参加。茶碗蒸しや筍のおこわなど、七種類を作った。
 今田さんは「車やバスでの移動がたいへんだった」と苦笑いを見せつつも、「日本人よりも日本の味を大切にしていると感じたし、安心した」という。
 報告会には各支部の代表ら約三十五人が参加。レジストロの滝井高子さんは、豆腐を例にあげ、「二種類の大豆で作り比べて、温度やにがりの混ぜ方、絞り方など聞いただけではわからないことがよくわかりました」。ピラール・ド・スールの富田富子さんは以前から知り合いだったみたいに打ち解けた。折り紙も教えてもらって、皆も喜んでます」と今田さんに謝意を表した。
 今田さんとともに各支部をまわった栖原マリーナさんは「調味料の味ではなく、素材の味の活かし方を学んだ。今自分たちが日本の味を教えていかないと、三世、四世は忘れていってしまう」と使命感を新たにしていた。
 小川彰夫文協副会長は「いつもやっていることの中に新しいことを見つけたのはすばらしい」と挨拶し、「今田先生に教えてもらったことのみならず、その気持ちを伝えることが大事」と話した。
 報告会では調理方法についての質問が多く飛び出したほか、今田さんの指導を活かした豆腐、漬け物や煮物、また彩りのいい寿司などが用意され、にぎやかな歓談が続いていた。

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