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動き出す伯連邦政府=百周年記念協会=外務省アジア局長と会合=日系社会側の計画を説明=松尾氏「緊密な連携を」

2006年12月16日付け

 「緊密に連絡を取り合いましょう」。十一月十四日付けで公布された大統領令5966号により、百周年国内組織委員会の設置が決まったことを受け、ブラジル外務省アジア・オセアニア局のレジナ・マリア・コルデイロ・ドゥンロッペ局長ら代表者は、日系団体関係者約二十五人との第一回会合で、そう呼びかけた。同外務省サンパウロ市事務所で十四日午後四時から行われた三時間におよぶ会議では、お互いの意図を確認すると同時に、百周年記念協会から現在までに進められているプロジェクトの概要が説明された。本番を一年半後に控え、ブラジル政府レベルと日系社会との共同作業がこれで始まった。
 冒頭、ドゥンロッペ局長は大統領令の趣旨や、実際の事業を取り仕切る作業部会などについて説明。「実際の人員選定は、ルーラ大統領による新政権の組閣のあとになるでしょう」とし、実際の発足が来年になるとした。
 当日は、日本を直接担当するアジア・オセアニア二課のフランシスコ・マウロ課長も同席、サンパウロ州政府儀典局から参加があった。同外務省が計画中の事業リストと記念協会のそれを交換することになった。
 大統領令に定められた組織概要に基づき、最高決議機関はブラジル日本移民百周年記念国内組織委員会で、各省庁の代表者から構成される。組織図の試案がしめされ、下部には執行委員会、さらに執行事務局、その下に分野ごとの作業部会が位置づけられている。
 現実の事業を調査立案する作業部会には、文化、教育、厚生、農業、観光、産業交流などの分野が挙がっており、それぞれに関係する日系団体代表や個人が参加する見通しが示された。
 とくに「教育作業部会では、青年への教育は重要だと考える」との認識がしめされ、デカセギ子弟への教育支援もその中に含まれることが討議された。
 最近、記念協会が発刊した記念事業概要を説明する百二十八頁だて冊子が手渡されると、局長は「これに目を通して、どう国レベルのプロジェクトに組み込むか検討する」と答え、「すべてのプロジェクトが日伯両国民にもっと知られるべきだ」とも付け加えた。
 必要に応じて、ペトロブラスなどの巨額資金を動かす公社に入ってもらい、今後、決定していく事業の予算を算段していくという。
 丸橋次郎首席領事も「日本側も来年一月に向けて、実行委員会立ち上げを検討している」と報告し、「ブラジル人である日系人の記念行事なので、ブラジル政府と緊密な連携をもってやってきたい」と語った。

地方団体から皇室に
「30分でもご滞在を」


 一方、皇室ご訪問に関して、アラサツーバ文協の加藤孝会長は「一時間、三十分でいいから、ぜひ皇室にアラサツーバへご来臨いただきたい」との期待をのべ、ノロエステ連合日伯文化協会の白石一資会長も「傘下の三十団体が待ちわびている」との熱いメッセージ送った。
 ミナス州代表からも「ぜひベロ・オリゾンテにも時間を割いていただきたい」との声があがるなど、皇室ご臨席を願う地方団体の声が相次いだ。
 ドゥンロッペ局長は「皇室のご滞在期日の延長、もしくは複数来て頂くなどの要請として、大統領から書簡をだせないか相談してみる」と応じた。
 サンパウロ日伯援護協会の酒井清一会長が「資金面も含め、ブラジル政府としてどんな支援をしていただけるのか具体的に教えてほしい」と質問すると、局長は「それぞれの作業部会で予算をつけて支援する可能性もある」とだけ語った。
 最期に局長は「大変参考になった。今後定期的に開いていきたい」と語った。松尾治執行委員長はニッケイ新聞の取材に対し、「今まで政府との連絡は密でなかった。これからが大切です」と襟を正した。

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