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ローランジャに3館建設=パラナ=百周年に新計画も=連邦技術大学=半額日本に申請

2006年12月28日付け

 ローランジャに移民史パビリオン建設へ――。第三十四回パラナ日伯友好経済使節団の団長として訪日していた上野アントニオ義雄パラナ日伯商工会議所会頭(84、二世)は二十二日来社し、同州百周年記念事業に関わる訪日成果と、その進展具合について説明した。記念事業の目玉、ロンドリーナ市への連邦技術大学誘致に関して、六百万ドルの建設費が来年度の連邦政府予算に計上されたと報告、その他、日本移民の過去から将来を展示する三つのパビリオンを建設する計画がローランジャ市にあることをこの度、初めて明らかにした。記念式祭典への皇室や日本側来賓の出席を積極的に要請しているパラナ州、百周年に向けて交渉を詰めつつあるようだ。
 十一月から今月にかけて二十一日間、上野会頭は同経済使節団の団長として日本とアジア各国を訪問。使節団は七人、医者や大学関係者などで構成された。
 使節団は今月四日、国際協力機構(JICA)の関係者と懇談。上野会頭はその中で連邦技術大学の総事業費一千二百万ドルのうち、六百万ドルの助成を同機構に申請し、残りの六百万ドルについては連邦政府が捻出する予定と説明した。
 上野会頭によれば、同連邦技術大学の建設誘致は昨年九月の連邦議会(上院下院)で承認され、教育省(MEC)からも認可済みという。ロンドリーナ市が無償提供する五十ヘクタールの土地に、三千平米の施設を建てる。
 学内には、起業家育成講座が開講されるほか、日本の先端技術や文化を学ぶ日本文化センターも予定されている。日系人口十五万人を誇る同州ゆえに、日系学生数が同大全体の二割を占め、校長も日系人就任が見込まれるなど、日系色の強い教育機関になるという。
 同大学の教員給料など運営費はすべて連邦予算でまかなう予定。日本文化に関しては、同州日系団体の七割から八割と提携を結び、相互協力する形をとる。
 すでに神戸大学と姫路工業大学と提携し、お互いの卒業資格が本格的に通用できるよう、カリキュラムから考え直すプランもあるなど、相互に人材を交流させる試みも期待されている。
 さらに今回初めて、新しい大型記念事業が明らかにされた。四十ヘクタールの敷地をもつローランジャ農業センター内に、開拓者の歩みや三~四世の躍進、日伯の技術、工業、文化の発展などをテーマにしたパビリオンを建てる計画だ。
 上野団長は同案の説明をおこなうため今月四日、日本貿易振興会(JETRO)本部を訪れ、ラテンアメリカ部の四人と協議。第三回目となる兵庫県・パラナ州の物産展の開催もあわせて説明した。

皇太子さま
トミさんに哀悼
「百周年に期待」


 今回の訪日はこれら百周年への協力要請以外にも、百周年記念祭典に皇室のご臨席を再度、正式要請することも主な目的だった。
 皇太子さまは五日、東宮御所で、アマド駐日ブラジル大使、使節団一行とご歓談された。皇太子さまは「二十二歳のときにパラナ州を訪問したことに強い印象がある」と述べられて同州出身の団員を喜ばせ、和やかにご歓談された。
 団員一人ひとりに親しく声をかけられた皇太子さまは、今年十月に亡くなった笠戸丸移民の最後の生存者だった中川トミさんに哀悼の意を示したほか、「百周年には皆様の活躍を期待していますと述べられた」と上野会頭は振り返った。
 続いて一行は同日、ブラジル大使館ペスターナ書記官が同席して、三輪昭外務省中南米局長、同省経済課数人と懇談。席上、三輪局長から「箱物建設には日本政府からの援助はないと明言された」が、上野会頭は同技術大学の「千二百万ドル」計画案を提出。ロンドリーナで開催される文化・経済展示会場についても説明をした。
 このほか使節団は兵庫県を訪れ、神戸商工会議所の関係者と交流したほか、井戸敏三同県知事、山田知(さとる)西宮市長とも面談。サンパウロとパラナで行われる式祭典の参加意志を確認した。

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