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等身大の古武士人形展示=100年祭で独自の「史観」出版――82歳の渋谷さん張り切る

2007年1月5日付け

 「移民は日本文化の親善大使」とは在外者全員が肌で感じることだが、大枚をはたいてそれを実行し、個人的に百周年記念事業を次々と進めている元気な翁がミナス州にいる。それは州都ベロ・オリソンテ市在住の渋谷信行さん(82、新潟県出身)だ。
 四十一年間勤務したウジミナス。そこの社員に日本文化を知ってもらうため昨年、独自の日本文化展示スペースを開設。個人的な百周年記念として進められているこの日本文化展示スペースに十月、新しく等身大の古武士人形などがお目見えした。
 日本から取り寄せた本物の鎧甲(よろいかぶと)が着せられた人形で、費用は約二万五千レアルもかかっている。その他、日本の古刀二振り(約千三百レアル程度)も展示され、ますます充実してきた。もちろん、私費でまかなっている。
 このスペースは、渋谷さんが私費約六万レアルを投入して〇五年末にイナウグラソンした。約二十平米に、七段の雛人形を筆頭に、絵画や陶磁器、日本人形十点など計三百点が飾られているという。
 「まだまだ足りないものがある」と感じており、扇子、うちわ、大型の和太鼓、尺八や三味線などの伝統の楽器などを寄贈してくれる人がいないか呼びかけている。協力できる人は渋谷さん(電話31・3225・8834)まで連絡を。
 「ウジミナス重役の非日系の奥さんに日本の着物をプレゼントして喜ばれた」と、常々自称する〃日本文化のブラジル伝道師〃が伊達ではないことを証明する。
 元気印の極めつけは、「三百頁の大作にしたい」と張り切る個人的な百周年記念出版、自伝『渋谷史観=歴史の落ち穂拾い』(副題は「タロウ・ウラシマのブラジル漂流記」)だ。これから書き始め、「〇八年六月には完成して出版させたい」という。コロニアの歴史を独自の視点から解説したものになるという。
 渋谷さんは一九二四年、台湾の高雄生まれ。一九二八年に渡伯し最初は第二アリアンサへ入植した。その後、出聖して大正小学校に入学し、名ピッチャーとしてならした。

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