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モデル交番の訪問会=サンパウロ市内S・セシリア区で=長期専門家・石井警視が招く=「警察の究極の目的、治安改善」

2007年1月24日付け

 サンパウロ州政府の治安対策の一環として、JICA(国際協力機構)とサンパウロ州軍警察が協力して実施している「地域警察プロジェクト活動」を知ってもらおうと、同プロジェクト長期専門家としてブラジルに赴任中の石井孝警視(神奈川県出身)は二十日、サンパウロ在住の日系人を招いて、サンパウロ市内のモデル交番訪問会を開いた。
 JICAボランティアら九人が参加。サンタ・セシリア区にあるプラッサ・ロータリー交番を訪問し、石井警視や日本で研修した軍曹のジョルジ所長から、交番の活動内容について説明をうけた。
 同交番では、日本の交番と同じように掲示板や周辺地図を掲載し、警察官の紹介や治安情報を載せた交番新聞を発行。巡回連絡活動をおこなうなどして、地域住民との関係を積極的に深めようと活動している。
 また、訪問者の記録表や巡回連絡説明書を統一の書式にして、情報の共有化を図っているほか、勤務員の名刺を作製するなどして、交番勤務員の責任感を高めることに力を入れている。
 石井警視によれば、ブラジルの警察は日本に比べて地域住民と信頼関係が希薄。そのため地域警察の理念である地域住民と共同して良好な治安を維持する意識はなく、力で犯罪を押さえ込む考えが中心だった。
 しかし、最近は「力で抑えるやり方に限界にきている」とブラジルの警察側は感じており、交番が中心となって地域の施設や住民との信頼関係を築き、犯罪予防を目指す方針を打ち出しはじめたという。
 州軍警察は一九九〇年代から州内に二百六十八カ所の交番、駐在所を設置。現在、八カ所がモデル交番として指定されている。今年中には、州内を中心に十二カ所を新たにモデル交番として拡大する予定で、今後は日本とブラジルの警察官の相互派遣やセミナーなどを積極的に開催して、幹部や勤務員の育成にも力を入れていく計画だ。
 石井さんは訪問会を終えて、「警察の究極の目標は治安の改善にある」と説明。その目標達成には「ブラジルの警察が、この地の事情にあわせた治安対策案を自主的に発展させていくこと」が重要だという。
 また、ブラジルでの交番活動はまだまだ世の中に知られていないとして、「これからは日々の活動を紹介するホームページをつくり、警察、交番側から積極的に情報を発信していく姿勢が大事になる」と語った。
 同交番の印象について、参加者の一人の山崎由加里さんは「警察官が子どもと気軽に話しているところをみて、雰囲気が明るいと驚いた。ブラジル中にこのような交番が広まっていったらいいですね」と話していた。

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