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体に負担かけない心臓手術法=友好病院との技術協力を検討――金沢大学から新井医師ら

2007年2月10日付け

 「国際協力につながれば」―。サンパウロ日伯援護協会経営の日伯友好病院と医療技術協力を検討するため来伯していた二人の日本人医師が七日、サンパウロ市リベルダーデ区のニッケイパラセホテルで記者会見を行い、「ブラジル日系社会の人たちのためにも最善の方法を検討していきたい」と述べ、計画に前向きな姿勢を示した。
 会見をしたのは金沢大学病院心肺総合外科の新井禎彦医師と東谷浩一医師。両医師は五日に来伯し、日伯友好病院の関係者と協議を重ねたほか、INCOR(サンパウロ大学付属心臓外科)や最新の医療設備を揃えるアインシュタイン病院などを訪問。それぞれで体に負担をかけない手術法の「低侵襲手術」を紹介する講演を行い、好評を博した。
 同計画は、狭心症・心筋梗塞分野を得意分野として確立したい友好病院の関係者が昨年初旬、日本側に協力を打診したのがきっかけ。それを受けて昨年十月、山本恵一富山医科大学名誉教授が正式に提携交流を提案し、始まった。
 新井医師は会見で、友好病院との技術協力の可能性について、「最善の方法をもってすすめたい」と前向きな姿勢を示した。各病院を視察した印象については、地方病院の医療水準がどれほどにあるかは不明としながらも、「ブラジルの医療は世界の水準からみても評価されていい」と語った。
 両医師の説明によれば、技術協力の具体的な内容については今後の検討によるが、最先端医療としては、人工心肺装置を用いずに、完全内視鏡下でバイパス手術をおこなう技術などを友好病院に紹介したいという。
 人材育成の面に関しても、将来的には友好病院から心臓外科分野の医師を金沢大学に招き、研修をおこなう計画を予定しているほか、金沢大学側からも友好病院側に指導者を派遣することが考えられるという。
 この点に関して東谷医師と新井医師はそれぞれ、「病院にいくらいい医療設備があっても、それを扱う医者の技術がなくては意味がない。人材育成を目的にした実りある協力が必要」、「病院の医療レベルは一朝一夕であがらない。長期的な視点で考えていくことが大事になる」と意見を述べた。
 援協関係者によれば、心臓分野以外にも、ブラジルで患者数が多い糖尿病分野でも、同様な技術提携を進めていく計画だという。
 両医師は八日、サンタ・クルス病院と友好病院を視察し、同日夜、日本へ帰国した。

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