ホーム | 日系社会ニュース | ブラジル「女子ソフト強くしたい」――〃世界一〃の総監督、早大の吉村さん=指導、充実した11日間=「リオ五輪」があれば=正式種目の可能性=5月、3選手日本に招く

ブラジル「女子ソフト強くしたい」――〃世界一〃の総監督、早大の吉村さん=指導、充実した11日間=「リオ五輪」があれば=正式種目の可能性=5月、3選手日本に招く

2007年3月10日付け

 「もの凄く充実した十一日間でした」。二月二十三日に来伯して以来、ソフトボール女子代表チームに付きっきりで指導にあたってきた早稲田大学ソフトボール総監督、吉村正氏(61)は六日に帰国する直前、そう感想をのべた。吉村氏は早稲田大学の男子ソフトボール部を〇五年世界大会で優勝に導き、本人も最優秀監督賞を獲得した〃世界一〃の総監督だ。
 「日本で世界一のピッチャーに育てたい」。世界一流の選手を育てる指導者が現地に不足していることを考慮した同総監督は、五月十六日から六月三日まで、女子ブラジル代表選手のピッチャー二人ら三選手を日本に招くことを決めた。
 リオで開催されるパンアメリカン大会直前のタイミングであり、さっそく何らかの結果が出るのではと、関係者の間では期待が高まっている。
 今回直接に指導を受けたヒガ・まゆみ・ニウザ選手は「以前は速球にしか自信がなかったが、先生のおかげでドロップやチェンジアップを上達させていただいた」と感謝する。
 またコウサカ・カオリ・ライラ選手は「試合におけるカーブの重要性が明確になった」とし、短いながらとても意義深い時間だったと、総監督への感謝の手紙につづった。
 同大学のダグラス・スコット助教授(アメリカ人)、現役日本代表選手の吉形太祐さん(21)と青山紀彦さん(20)も手分けして、サンパウロ州マリリア市やパラナ州マリンガ市で指導にあたった。スコット助教授は「とても一生懸命に練習するのに驚いた」と感想をのべた。
 「ピッチングを良くしたら、次はバッティング」。同総監督は二〇一六年を見すえ、十年越しでブラジルソフトボール界を底上げする体制作りを考えている。「日系だけではなく、混血や非日系選手も混ざって戦った方が世界一を狙いやすい」。
 さらに、帰国後は実業団チームを持つ企業に、支援を依頼して回るという。努力してブラジル代表選手になった後、日本の実業団チームでプロになれる道が開かれたら、さらに強い動機、高い目標がもてるからだ。
 ここまで肩入れする背景には遠大な計画がある。リオで開催される可能性が高いと言われる二〇一六年五輪で、もし女子ソフトがメダルをとれる可能性があれば、ブラジル政府は野球とソフトを正式種目に戻す(二〇一二年ロンドン大会で外れる)ように五輪委員会に働きかけられるようになるはず、との読みだ。
 「日本に帰ってさっそく準備に入る」と総監督は気合いを込めた。

image_print