ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

2007年3月10日付け

 暑い。日本列島も暖冬で東京や宮城県の仙台も雪が降らなかったし、桜も記録的な早咲きと共同通信は伝える。サンパウロも例年だと、カルナバルが終ると秋の涼しさが始まり稔りの季節になるのだが、どうしたことか今年は猛暑が続く。雨も多く洪水の報道も多い。降雨のせいで湿度が高いのか―暑っ苦しいのも辛い。勿論、列島の蒸し暑さほど酷くはないが、かなりきつい▼こうも暑いと、陶枕や籠枕が懐かしくなる。真夏の昼寝には欠かせないもので―あのひんやりとした感じがいい。青磁とまではいかなくとも、磁器が放つ冷たい感触が暑気を追い払い、籐を編んだ枕も涼しさを誘い疲れた身を癒す効果が高い。竹枕も安眠を呼び込むが、鯨の髭で作った豪華なのもあるらしい。が―せめて陶枕を使い高枕と参りたい▼其角に「抱籠や妾かかへてきのふけふ」があるが、江戸の頃まで暑い夜には「竹婦人(ちくふじん)」というのがあって涼をとる習慣があった。抱籠は、この竹婦人であり、竹奴とも―。青竹を細く割いて1・5メートル位の細長い筒のように編んだもので通人らが愛用したのだそうな。実物を見たことはないが、これは確かに涼しそうだし、ク―ラ―のないときなら、必需品だったかもしれない。そんな気がする▼枕は「魂倉(たまくら)」から転じた言葉という。人が眠ると魂は抜け出して枕に移るので肉体は安らかに眠り、目覚めると魂が戻ってくるの考え方なのだが、これはキリスト教の一派でエジプトの砂漠に修道院を建てたコプト派の「眠りは短い死」と同じようなのが面白い。それにしても―暑い。真に暑い。      (遯)

image_print

こちらの記事もどうぞ