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ピラール=果実一大生産地めざす=柿収穫祭、浦田シニアの指導受けて=周知されていく「富有」=生産者協会の輸出量増加

2007年4月4日付け

 果実の一大生産地となることを目指して――。二〇〇七年度APPC(サンパウロ州柿生産者協会、午腸修二会長)柿収穫祈願祭が、三十日、ピラール・ド・スルの豊田一夫さんの農園で開催された。柿の収穫を祝い、生産者らの交流を目的として、三年前より行われている同収穫祭。ミナスジェライス州トゥルボランジアやポウゾ・アレグラ、パラナ州アサイからも生産者が集まり、約二百人が参加。農場を視察し、たわわになった柿を取り入れて、その品質を味わった。
 「始めは生産量もなかったですから。ブラジルで、富有柿は固いイメージがありますしね」とAPPC販売担当の森岡アキラさんは数年前を振り返る。「このごろ、柿はセアザでも増えてきていますし、(味、種類など)どんなものか知ってもらいたい」。
 APPCは二〇〇〇年に発足。東はモジ・ダス・クルーゼス、西はアピアイの東西五百キロに六十五人の正式会員をもち、現在、四百二十二アルケール、十三万一千二百五十七本の柿を管轄している。
 国内はサンパウロのみならずリオ、ミナス、ゴイアスなどのセアザにも出荷しているが、〇一年からは欧州を中心に海外輸出を始め、同年、富有柿一万七千ケースを輸出。
 さらなる生産向上を目指して、〇三年に浦田昌寛JICAシニアボランティアを迎えて以降、生産規模の増加、品質改善、新種の取り入れ、育成などに取り組んできた結果、毎年実績を伸ばしつづけている。〇六年には九千七百三十五トンを出荷、五万八千ケースを輸出した。
 浦田シニアは「最近は、戦略作物として、ギンナン、デコポン、ぶどう、アテモイアなどもやっている」。さらなる収穫量の増加を目指しつつ、今年は柿八万ケースの輸出を目標にしているという。
 森岡さんは「ロシア、チェコなどの東欧諸国と、アラブ首長国連邦への輸出を開拓しているところで、将来的にはアメリカ、日本への輸出も研究中です」。
 好天に恵まれた収穫祭には、田畑篤史在サンパウロ総領事館副領事や、野末雅彦JICAサンパウロ支所次長、ルイス・ヘンリッケ・カルバーリョ同市市長らが列席。午腸さんの農場を視察し、浦田シニアより柿の生産手法、品種の特徴などの説明を受けた後、豊田さんの農場に移動して、式典が始まった。
 祝福の爆竹とともに入園テープカット、ブラジル大神宮の佐藤友保宮司による神式の清め、祝詞に続き、ハサミ入れ式。午腸さんは「浦田シニアは、『土作りが大切だ。汗と知恵と歳月をかけて、愛情を込めるのと、日頃の観察を怠らないことだ』と言います。ここは温帯果実の(栽培)最適地。果実の一大生産地になることを目指して頑張りましょう」とあいさつ。参加者らは採りたての柿を次々とほうばって堪能し、今年の順調な販売を祈った。APPCの柿はこれから、時期を迎える。

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