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苗木持参、沖さんの指導で=「森づくり」に弾み=パ国イグアスー移住地=自然への恩返し、恵みと楽しみを=銘木ジュキチーバも持参

2007年4月6日付け

 【既報関連、イグアスー発】植物事情に精通していることで知られているサンパウロ市在住の沖真一さん(在伯東京農大会副会長、広島県)が、去る二月中旬にパラグアイのイグアスー移住地を訪問して「森づくり」の指導を行った。日本経団連自然保護基金の助成を受けて環境保護活動に積極的に取り組んでいるイグアスー日本人会(公文義雄会長・高知県)の招待に応えたもの。
 昨年暮れに発足した日本人会の環境保護対策委員会(篠藤菊雄委員長、愛媛県、本紙一月三十日報道)の委員らが、二月十六日早朝、沖さんを空港で出迎え、移住地から二百キロほど離れている私営育苗場に直行、沖さんの助言を受けながら、地域の風土に適合すると思われる約三十種類の苗木を選んで移住地の育苗センターに運搬した。
 この育苗場では、ウルグアイ人古老が永年にわたり世界各地から有用な樹種を取り寄せ、ウルグアイとパラグアイの風土への、適応試験育成を行っている。同類の育苗場をウルグアイにも所有しているという。共通意識を持った仲間たちの来訪を大いに喜んだ古老は、イグアスー日本人会の「森づくり」活動に進んで協力することを約束した。強い味方の登場だ。
 移住地に運搬された苗木の一部が、環境保護委員たちによって育苗センターの周囲に植えられた。環境教育テーマパークに向けての準備作業の一環だ。
 二月十七日には日本人会会員(成人)を対象に育苗センターで「森づくり」についての講習会が行われた。「森をつくるのは自然への恩返しの行為であり、親子が揃って木を植えることが望ましい。薬草のある森、果物のある森、など楽しく、誰にでも恵みのある森、人々を楽しませる森づくり、を考えてはどうか」と沖さんは参加者に問いかけた。
 講習会に先だって行われたイグアスー日本語学校の中学生への講話の中で沖さんは「森とは、大きな木、つまり父親、があって(いて)、そのまわりに中ぐらいの木や小さな木が沢山ある状態のこと。いろいろな種類の木が混ざりあって調和を保っているのが自然の姿だ。だから、森は人間生活の家族と同じような構成だ」と説明して、子供たちも積極的に森づくりに参加するよう勧めた。
 移住地管内に大きな人造湖があることを知っている沖さんは、〃沼杉〃など湿地や水辺に育つ三種類の苗木をサンパウロから持参した。「この移住地も水辺保護のための対策が必要だ」と述べて、水辺に育つ樹種の解説も行った。
 環境委員たちの案内で植林予定地に想定されている湖岸の視察も行った。ブラジルの銘木〃ジュキチーバ〃の苗木も記念に持参した。グァタパラ移住地にある樹齢三千年といわれるジュキチーバの巨大さ(写真)に講習会の参加者は度肝を抜かれたようだ。
 移住地には雪割り、寒緋、ヒマラヤ三種類の桜が育っている。これらも一九九九年に沖さんが持参した苗木が主流となっている。今回は『陽光』という新品種の苗木を持参して環境保護委員に接ぎ木の実技指導(写真)も行った。
 「(四月中旬に)大豆の収穫が終われば、移住地あげて〃森づくり〃を再開する。近隣諸国や日本からの参加も大歓迎ですよ」と言う環境保護対策委員長の篠藤菊雄さんの表情は明るい。

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