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半世紀前の〝約束〟果たし=ボーイスカウト・カラムルー隊=英国訪ねる花城さんら=50年前の思い出今も鮮やか

2007年5月11日付け

 半世紀前の友情を確かめに――。一九五七年に英国で行われたボーイスカウトの大会、第九回世界ジャンボリ―に参加した花城アナクレット(66)、花城セイシュン(67)の両氏が開催から五十年目の今年、同ジャンボリーに参加した往年のスカウト達が再会するイベント「Reunion 57」に参加するため七月、英国を訪れる。同月に同じく英国で開催される第二十一回世界ジャンボリーにも出席する。現役でスカウトたちの指導にあたり、両氏に同行する石塚克興さん(61)は、「二人の視点を通した『世界』『若者』『スカウト運動』の五十年を子供たちに伝えられれば」と今後のカラムルー隊の活動にも活かしたい考えだ。
 ボーイスカウト運動の創始者、ベーデン・パウエル卿の生誕百年、運動開始から五十年を記念して開催された第九回世界ジャンボリーには、九十カ国から三万三千人のスカウトが参加。
 ブラジル派遣団は総勢六十人、その五分の一にあたる十二人がカラムルー隊(ブラジルボーイスカウト連盟サンパウロ第二十六団)の日系スカウトだった。
 「オープンカーで目の前を通った。感動しましたね」。当時十六歳だったアナクレットさんは、ジャンボリーを訪問したエリザベス女王の姿が一番印象に残っているという。
 開催期間は十二日間。各国のスカウト達が各種活動や交歓会などを通じ、友情を築いた。
 ブラジル派遣団は、竹の束を持っていき、キャンプ地に「BRASIL」と冠した巨大ゲートを掲げた。大会終了時、記念品にと小さく切った竹を配ったさい、行列ができたという。
 セイシュン氏は、汽車に乗り遅れたブラジル隊を英国のスカウトたちが連絡し合い、無事送り届けてくれたことを懐かしく思い出す。開催中に吹き荒れた大雨でバッグが水浸しになり、「濡れたカフェで衣類がむちゃくちゃ」に。当時の記憶は五十年経った今も鮮明だ。
 イギリスまでは船で十六日間。ジャニオ・クアドロスサンパウロ州知事(当時)も偶然同船していた船内には、ウルグアイ、アルゼンチンからの派遣団も。十二人のうちの一人、木村シロウさんは、「さながらミニ・ジャンボリーのようだった」と船内での交歓会の様子を語っている。(カラムルー隊五十年史)
 その木村さんも訪英する予定だったが、昨年急逝。アナクレット、セイシュンの両氏は「三人がブラジルからの派遣団」と胸を張り、木村さんの名を入れたワッペンを携え、「Reunion 57」に参加する。
 同ジャンボリーに参加したカラムルーのスカウト達は五年毎に同窓会を開いており、〇二年には八人が出席するほど結束は固い。
 アナクレット氏は大会開催中に発行されていたジャンボリー新聞を持っていき、世界のスカウトたちと久闊を叙したい考えだ。
 同ジャンボリーのテーマソングの一節にある「五十年後に会いましょう」―。
 二人は、半世紀ぶりの約束を果たす。十代の記憶を辿りながら取材に答えてくれたセイシュン氏は「次の五十年後にも行きたいね」と笑った。
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 カラムルー隊は、同仁会の医師だった細江静男氏の提唱により一九五三年に結成、現在では約三百五十人のスカウトを擁するブラジル最大のボーイスカウト隊。
 今年七月に過去最大級の規模で開催される第二十一回世界ジャンボリーには、ブラジルから七百人、カラムルーからは百二十人のスカウトが参加予定。

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