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アマゾン=群馬の森が高校教科書に=熱帯雨林の保護伝える=岡島北伯県人会長「日本の若者に知ってほしい」

2007年5月26日付け

 パラー州にある「アマゾン群馬の森」が、日本の教科書に取り上げられることになった。群馬の地元紙、上毛新聞が伝えている。日伯の若者の交流を通じて熱帯雨林保護への理解を深める内容で、二〇〇八年度から使用される高校生の英語教科書に掲載されるという。森を管理する北伯群馬県人会の岡島博会長はニッケイ新聞の取材に対し、「文部省認定の教科書に掲載されることで、より多くの若人にアマゾン群馬の森について知ってもらえれば」と喜びのコメントを寄せた。
 州都ベレンの郊外に創設、昨年十周年を迎えたアマゾン群馬の森。群馬県からも毎年「こども緑の大使」として訪問団が訪れるなど、同県とアマゾンの交流促進にも大きな役割を果たしている。
 このたび「群馬の森」の記載を決めたのは、日本の桐原書店が出版する高校二年生向けの英語教科書。
 上毛新聞ホームページによれば、北伯群馬県人会(岡島博会長)が取得した「アマゾン群馬の森」は熱帯雨林を保護し、同県の子供たちの環境教育にも活用されていることなどが評価されたことから、教科書に使われることになったという。
 記述の内容は「アマゾン熱帯雨林を守れ」と題した章で、「群馬の森」を紹介。同県に住む高校生のアイが、ブラジル人の大学生とメールをやりとりし、原生林への理解を深めていく内容。同県の子供たちが植林している写真も掲載されている。
 群馬の森は、リオ市で開催された「ECO92(地球サミット・環境と開発に関する国際会議)」(一九九二)を機に、群馬県大泉町の故・久保田富一郎元県議の呼びかけにより在北伯群馬県人会が県の協力を得て取得したもの。県内外から約三十万ドルの募金を集めてアマゾンに面積五百四十ヘクタールの森を購入した。
 岡島会長によれば、農業移住者として入植した人々は農地を耕作し、子弟を増やして何不自由ないまま育ってきたが、後世のために何かをしたいと思いアマゾンの森を守ることを決意したという。それは移住者がアマゾンで生活していたという証を残しておきたいとのことからだ。
 また、日本の子供たちに少しでも地球環境のことを直に触れ感じて欲しいと、「こども緑の大使」事業も実施。九九年から現在まで、群馬県内から募集、作文や面接などにより選考した子供たちが毎回約六人前後、アマゾンの地を踏んでいる。緑の大使は六回、植樹団は八回を数える。
 二〇〇五年に愛知県で行なわれた「愛・地球博」では、JICA(国際協力機構)とパラー州、群馬県の東部アマゾン森林保全・環境教育プロジェクトが、環境保全に貢献し、優れた技術や活動に対して送られる「愛・地球賞」を受賞している。JICAが民間企業を加えて行うプロジェクトは初めて。そのおかげで以降年に約二千五百人が同所を訪れているという。
 「この森はみなさんの協力や農業、企業の連係のおかげで成り立っている」と話す岡島会長。昨年には土地なし農民の不法占拠を受けるなど問題を抱えながらも、「これからもこのアマゾン群馬の森を守っていかなければならない。もしそれができなければ先祖に顔向けができない」と決意を語った。