ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

2007年7月20日付け

 県人会連合会の調査によれば、県費留学生、県費技術研修員の数の減少が著しい。〇三年に比較して、〇七年の両送出実績は、三分の一から半分だという▼小泉前政権の施策がもろに影響している。小泉さんの構造改革なるものにより、予算がどんどん切られたのである。国がやる事業でないと判断されたといってもいい。留学、研修の予算は、県費を冠してはいるが、国からの交付金がなければ、措置できないものだった▼小泉さんは、来伯時、文協の講堂で移民の過去の労苦に言及し涙を流した。しかし、そのことと移民の子孫たちの留学予算は別である▼五九年に始められた県費留学は、地縁・血縁による訪日だというあたりが、かなり前面に押し出されていたような気がする。日伯両国関係者の認識だ。事業が年月を経るにしたがって、日本語能力が云々された。地縁で留学したところで、学校の授業についていけなければ、何にもならないではないか、の議論だ。日本語能力の審査が厳しくなったころから、予算の窮屈が言い出された▼今後、留学、研修は「これがその目的」「こういう専攻」とはっきり目指すものがある人だけのものになるだろう。もちろん、その気のある人は自費によって、である。アイデンティティがらみは、例外的になるかもしれない。研修員OBの一人が言った。「いい勉強になるから、お金を払ってでも行くべき」▼また、ある面では「日本の学術」の魅力が、他国のそれと比較され、はかられる。(神)

image_print