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在日子弟の国際理解教育に=JICA教師研修=日本の現場から視察

2007年8月3日付け

 学校の教育現場での国際理解を深めるため、JICAの教師海外研修制度により、静岡県や愛知県など五県の小中高校の教師八人と新聞記者、引率ら一行十一人が一日に着聖、来社した。この制度の今までの訪問先はアジア諸国が中心だったが、学校で在日ブラジル人子弟が増えている現実を反映し、今回初めてブラジルを訪問する。
 日本で最もブラジル人が多い市町村である静岡県浜松市の県立城北工業高校の飯尾美行さんは「日本人のブラジルでの努力や日系社会の実状を見なければ」と参加した動機を説明、「移民を知ることも今回のテーマです」と語った。
 愛知県の名古屋市立楠中学の松本剛秀さんは、従来の英語圏を優遇するあり方に疑問を持っており、「本当の意味での国際理解を深めたい」という。
 長野県の箕輪中部小学校の北原正治さんは実際に日系子弟を指導した経験から、親の考え方が大きな影響を与えると実感している。いずれ帰伯すると考える親だと子供も日本での学習に力の入らないこともあるが、「親が永住権をとって子供の学習成果が伸びてきている場合もあり、二極化している」と分析する。
 三重県伊勢市の二見小学校の中村尚美さんは日系児童を受け持った経験として、「むしろ日本人の子供よりも努力する子もいた。最初こそ漢字も全く分からない状態だったがすごく努力していた」と振り返る。
 一行は一日に到着。サンパウロ市では大志万学院、イタペチの日本語学校、移民史料館、東山農場、交番プロジェクト、あけぼのホームなどを、パラー州ベレンではJICA支援の環境プロジェクト、トメアスー移住地で森林農業など視察し、十一日に帰国する。
 静岡新聞社の編集局社会部副部長、穴沢直人さんも一行と共に来伯して視察に加わると同時に、独自に日系集団地などを訪れて取材を行う予定。