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衛生監督局の監査入る=援協総合診療所に=「規則順守」の現況調べ=トイレ、通路などに課題

2007年8月25日付け

 いつかはやって来ると思っていたが――。二十一日午後二時半ごろ、サンパウロ市リベルダーデ区にある援協総合診療所に、サンパウロ州衛生監督局の監査官が入った。医療衛生上の規則を満たしているかを調べるためで、一九六三年の開所以来、同局による抜き打ち監査がおこなわれたのは初めて。以前から心配されていたことに援協関係者は、「通知書がくるまではっきり言えないが、今後はできるかぎり監督局の指導に従い、より良い診療所にしていきたい」と語っている。
 秋山幸男診療所部長によれば、調査官は女性一人を含めて三人。二時間近くにわたり診察室や各種検査室、男女のトイレなどを綿密に調べていった。
 調査官の応対には、秋山部長とブラジル人看護婦が対応。同部長によれば、医療部門の責任者で、所長の矢島カルロス内科医師は「診察中だったため応対できなかった」。その点を尋ねるため二十三日、矢島医師に取材を申し込むと、不機嫌そうに「監督局からの通知書がくるまで何も話せない」とだけ述べた。
 今回の監査で予想される指摘内容の一つは、診療所の構造的な問題。同診療所は一九六三年に現在の文協ビル地下室に開所したが、診察室の増設を繰り返すなどをしたため、現行の当局規定に外れる点が出ていた。
 具志堅茂信援協事務局長によると、規定では診療所内の通路は最低二メートルの幅が必要。しかし実際には待合用の椅子を並べているため、一メートル半ほどだ。また、通路奥に隠れたように設置されているトイレも開所後に急場的に設備されたものであるため、入り口が狭く、段差がありスペースも小さいなどの課題がある。
 その一方で「基本的な衛生管理はこまめにおこなっており、最近も通路の壁の汚れをきれいにしたばかり」で、出来る限り快適な空間を心がけているという。
 同事務局長は突然の監査について、「こうなったのも年々増加する利用者のニーズに応えたためで仕方ないこと。少し規則に合わないからといって、利用者がそれほど損をしているとは思わない。現在の利用者や職員の雇用を考えても業務停止はまずありえない」と語っている。
 援協総合診療所は内科・外科をはじめ、心臓科、形成外科、婦人科など合計二十六科、四十五人の医師を抱えている。毎月、約千八百人の診察を受け付けており、六十一歳以上の利用者が全体の半数を占める。コロニアにとっては,不可欠な施設だ。
 援協は現在、〇九年の創立五十周年にあわせて「援協福祉医療センター(仮称)」を同地区に建設する計画で、そのセンター内に総合診療所を移転する予定。その後、跡地となる現在の診療所は福祉活動のスペースにする考えがでている。

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