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カノアの子供に学校を=セアラー州=優勢公社から助成受け=日本のNGOから安藤さん

2007年8月31日付け

カノアの子供に学校を=セアラー州=郵政公社から助成受け=日本のNGOから安藤さん

 セアラー州アラカチ市のカノア・ケブラーダ地区に地元住民のための多目的コミュニティセンターを建設するプロジェクトが始まっている。観光地化の進む北東部で開発の波から取り残された同地区で地域の人材育成を支援する計画だ。日本側のプロジェクト担当者として今月、日本・ブラジルで子供の教育支援、コミュニティ活動に携わるNGO団体「CRI~チルドレンズ・リソース・インターナショナル(子供たちのための国際的資源、小貫大輔代表)」の安藤将さん(37、東京)が来伯した。
 この「カノア建設プロジェクト」は、CRIが日本の郵政公社が運営する国際ボランティア貯金の助成金約一千百三十五万円を受けて実施するもの。
 教育施設を中心としたセンターの建設とともに、学校の授業を終えた子供たちが時間を過ごす学童保育教育、地域の指導者育成、さらに今後の運営基盤確率を目指す。建設用地は地元の住民協会が用意する。
 CRIは八八年、サンパウロ郊外のファベーラ、モンテ・アズールで実施されているコミュニティ活動に参加した小貫氏が帰国後に設立。現在は同地でのボランティア活動に加え、在日ブラジル人子弟の教育問題にも携わっている。
 安藤さんは二〇〇三年に来伯し、昨年十一月までモンテ・アズールで活動。このたびプロジェクトの担当者として来伯した。
 エスタバン海岸のカノア地区は州都フォルタレーザから百六十キロ離れた、人口三百人ほどの漁村。モンテ・アズールでも活動した鈴木真由美さんが二〇〇二年ごろから同地での保育園活動に参加している。鈴木さん以外にも日本からのボランティアが訪れる予定だ。
 十年ほど前から急速に観光地化が進む北東伯。それまでは素朴な生活を送っていたカノア地区の住民を巡る環境も、観光地化にともなって変わってきているが、安藤さんによれば、「(住民は)その流れについていけていない」という。
 衛生面の問題や、貨幣経済の浸透。「彼らは(観光地化の)恩恵も受けていない。このままでは波に飲まれ、子供たちがお金だけが目当ての人生を送るようになってしまう」と安藤さんは現状を説明し、子供たちの教育の必要性を強調する。
 プロジェクトの実施期間は一年間。一千百万円あまりの助成金はあるが、センターの建設関連費、完成後の運営安定のための資金などはこれから調達していく必要がある。レアル高による影響も受けており、現在同団体は日本でも募金を呼びかけているところだ。
 「ブラジルは人も、環境も良いけど、教育の不足が端々に見える」と話す安藤さん。「今回の学校建設プロジェクトが一つの役に立てば、それだけで喜びです」と語った。

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