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米国蘭協会から最優秀栽培賞=サンパウロ蘭協会が快挙=世界で最も厳しい審査で=40周年式典に2百人参集

ニッケイ新聞 2007年9月15日付け

 四十年前にサンパウロ市アクリマソンに播かれた一粒の種がすくすく育ち、ついに世界に認められる大輪の花をさかせた。サンパウロ蘭協会(森本みどり会長)は十三日晩、サンパウロ市内のカンタレイラ大学講堂で創立四十周年式典を行い、約二百人が慶祝に参集した。同時に始まった第七十七回蘭展では、最も審査基準の厳しいアメリカ蘭協会の審査員により、最優秀栽培賞(CCE)のゴールドメダルが二鉢にだされ、はえある受賞で節目の記念日に〃華〃をそえた。
 今回の蘭展で最も注目を集め、米国蘭協会の審査員をうならせたのは、森本会長が出品したバルボフィルム種のピクツラツム(九十三点)と、ジュンジャイ蘭協会のラウラ・ロメロさんのマクシラリア・セイデリ種(九十一点)の二鉢だ。
 森本会長の蘭は、四十年のサ蘭協会の歴史で初めての高得点を記録。九十点以上に送られる、生産者が世界に誇れる最優秀栽培賞(CCE)を受賞した。
 この蘭には特別に個体名が「Colibri/cce/aos」と名付けられ、今後株分けされる時には特別に高い値段で取引されることになる。
 米国蘭協会から九十点以上をもらうのは米国自体や日本でも数少ないため、サ蘭協会では「創立以来の快挙」と全員で喜んでいる。
 今回初めて蘭展会場となったのは、サンパウロ市内のカンタレイラ大学。十三日晩には、四十周年式典を慶祝するために、各地の蘭協会や会員ら二百人があつまった。
 冒頭、森本会長は「謙虚さ、シンプルさ、団結、調和、博愛の精神を忘れず、常に初心を振り返らなくては」という初代・井上二夫会長の十周年時の挨拶を引用し、「一つの胞子嚢には百万の種が詰まっている。それを世界中に広めよう。それが会の使命だ」と続け、みなに呼びかけた。
 中島澄男副会長は簡潔に四十年を振り返った。六六年にサンパウロ市アクリマソンに二十人ほどの愛好会が発足し、翌年には正式な団体登録となった。最初は年一回だった蘭展も増え、現在は年三回で規模も南米最大級になった歴史を説明した。
 井上氏以外で唯一現存する創立者の一人で、二十五年間会長を務めた川崎ジョルジ氏も壇上に上がり、「森本会長の挨拶を聞き、井上会長の植えた種は着実に根付いていることが分かった」と嬉しそうに語った。
 当日は、記念の蘭栽培辞典の第二巻が発刊された。三十五周年で発刊された第一巻五千冊は売り切れ、現在は第三版。著者の渡辺伝一郎さんは「世界に蘭は三万種以上ある。第一巻には約五百種、第二巻には約四百五十種。まだまだ出さなくては」と抱負を述べた。また写真等担当の森本マルシアさんも喜びを語った。
 最後に、武藤栄さん、野村よしこさん、森本信義さん、三原寿紀さんら古株会員など五人に手書きの立派な感謝状が送られた。
 記念のボーロカットをし、全員で日本料理の仕出しに舌鼓をうった。
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 第七十七回蘭展は十六日まで。午前九時から午後七時。入場無料。Faculdade Cantareira-Campus Belem, Rua Marcus Arruda,729。メトロのベレン駅から無料バス。

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