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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年9月29日付け

 福田康夫氏が首相の座に着いた。実父・故赳夫氏と初めての親子首相であり話題も多い。が、福田内閣の誕生を手放しでは喜べない。衆参のねじれ現象、海自の給油活動や年金と消費税の難問が控えており最も悪い状況での船出である。党4役と閣僚にも町村・高村両氏など派閥の領袖を起用し重厚な態勢を敷いたけれども、これで野党を押し切り政局を乗り切れるの保証はない▼首相は調整型の政治家であり、強いリ―ダ―シップを持った小泉純一郎、安倍晋三の両氏とは性格を異にする。むしろ、森喜朗氏に近く、トップ・ダウン型ではない。こうしたこともあって安倍氏のように憲法改正への意欲を政治課題とするようなことは避けるだろうし、今の問題としてインド洋での給油などの解決に政権の全力を傾ける▼海上自衛隊の給油活動を認めた法律は11月1日で期限が切れるため、政府与党は延長を認める新しい法案を提出する方針を固めているが、民主党など野党は反対を表明しており、国会審議は難航するに違いない。民主党の小沢代表は強く反対するが、国連安保理が(給油をする日本に)「感謝」の決議をしているし、今や国際的にも海自の艦船による給油を支持する国がいっぱいの事実も忘れてはなるまい▼首相は「与野党協調路線」を掲げているけれども、消費税の増税にも民主党は「反対」だし、与野党対立の姿勢はかなり強い。民主党や野党は政権交代を目論んでの「早期解散」を狙っているし、首相としても「解散」を視野に入れた政治運営は避けられまい。と、福田内閣を取り巻く情勢は「最も難しい政権」と見えるのだが―。  (遯)

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