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永田稠の孫=東大大学院教授=永田信さん=リオ環境フォーラムで発表=百周年シンポ打ち合わせも

ニッケイ新聞 2007年10月4日付け

 「ブラジルは生まれた時から、隣の国だと思ってますから」。二十九年ぶりの来伯を満面の笑みで語るのは、永田信さん(55)。「カフェーより人をつくれ」とアリアンサ移住地建設の主導的役割を務めた永田稠の孫にあたる人物だ。
 東京大学大学院農学生命科学研究科教授を務めており、九月十九日から二十一日にかけて行われた、日伯環境国際フォーラム(日伯学術フォーラム、カトリック大学、在リオ総領事館共催)での発表のために、招聘されて来伯した。
 加えて、日本の三校(東京大、東京農工大、筑波大)と、ブラジルの三校(サンパウロ大、カンピーナス大、ピラシカーバ農業大)が実施を検討している、百周年記念シンポジウムにも関わっており、その打ち合わせにも参加する。
 「(永田稠の)孫だからシンポジウムのプロジェクトに入れってことになりましてね。じゃあ、ブラジルでも研究できないかって考えた次第です」と永田さん。
 日本では、屋久島や白神山地など世界自然遺産の管理方法について研究しており、今回は「ブラジルに研究をやっていくだけの材料があるかを見に来た」。
 九月十八日に来伯し、国際フォーラムに参加。その後、ブラジリアで環境省関係者と会談し、シャパーダ、ベレン、サンタレンなど国立公園や森林の開発地を廻った。アリアンサ移住地や西村農工も訪れた。
 永田さんは「ブラジルは誰が土地の管理をしているのかはっきりしていなくて問題」と提起。「日本は明治の頃に国有地と民間の土地と分け所有者をはっきりさせているけれど、ブラジルはこれから始まる」。だが、その一方で「RPPN(私的自然遺産保護による免税制度)は日本にはないやり方で面白い。今は、手続きコストが高くて割に合っていないけれど、うまくやれば活用できる」と関心を示していた。
 「日本の国旗の次にブラジルの国旗を覚えた」とブラジルに親近感を持つ永田さんは、「来年は移民百年。地勢を見れば遠いけど、ブラジルが日本の友人としてやっていければいいと思う」と展望を語った。

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