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治療の現地化につなげて=広島県から医師団7人=ブラジルで初の被爆者医療研修=森田会長「日本と同じ待遇を」

ニッケイ新聞 2007年10月6日付け

 治療の現地化、これが最後の願い――。九日、広島県が派遣した医師ら七人(碓井静照団長=広島県医師会会長)が、ブラジルの医療関係者を対象にした被爆者医療研修を行うために来伯する。サンパウロ市内とクリチーバの三カ所で医師ら向けの講演会を行うほか、在ブラジル原爆被爆者協会(森田隆会長)会員らとの意見交換や健康相談を行う。同協会は、これまで日本にいる被爆者と同等の待遇を受けられるよう訴えて活動を続けてきた。森田会長は「これだけの先生が来たことはなかった。今回が基盤となって、現地での治療につながれば」と、派遣の成果に大きな期待を寄せている。
 在ブラジル原爆被爆者協会が設立して、今年で二十三年。日本在住の被爆者が年に二回の健診を受けられ、病気になった場合でも国が負担して治療できるのに対し、「海外在住者は同じ待遇を受けていない」と訴えてきた。
 これまでは隔年で日本から被爆者健診のための医師団が派遣されていたが、同協会は「日常的に治療を受けることができるような現地化」を主張し、昨年、森田会長らが厚生省や広島県、長崎県を訪問。ブラジルでの現状を伝えたことが今回の派遣につながった。日本の医師団が、ブラジルの医師向けに研修を行うのは初めてのことだ。
 一行は、碓井団長はじめ、土肥博雄・広島赤十字・原爆病院院長(放射線被爆者医療国際協力推進協議会会長、副団長)、伊藤勝陽・広島大学大学院歯薬学総合研究科教授(同推進協議会幹事)、松村誠・広島県医師会常任理事の四人の医師と、野村邦明・広島県保健医療局長ら、行政関係者三人の、計七人。
 九日に着伯して、イビラプエラ公園内の開拓先没者慰霊碑、総領事館やパウリスタ医師会をまわり、十日に日伯友好病院、十一日にサンタクルス病院で医師らに講習を行う。十二日にはブラジル在住の被爆者らと懇談し、十五日にクリチーバの病院で講演したのち、十七日に帰国する。約三百人の医師が、一行の研修を受ける予定だ。
 中国新聞によれば、碓井会長は、藤田雄山広島県知事を訪れて、「高齢の被爆者の声にしっかり耳を傾けて帰りたい」と抱負を語っている。
 森田会長は、ニッケイ新聞の取材に対し、十五年ほど前からブラジルの医師が日本で研修を受けているが帰国後に「何もしていない」現状を説明し、「ブラジルにいる、日本で研修を受けた医師らの再教育が必要」と言葉に力を込める。
 「ブラジルの被爆者の実態を知ってもらって、現地での治療、検診を実施できるような体制を整えるための下準備になれば」と医師団派遣の意義を話し、「すでに百人以上の被爆者がブラジルで死んでいる。現地の被爆者が日本にいる人と同じよう(な待遇)になることが、最後の願い」と熱く語った。

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