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ヴィトリアに日本庭園を=百周年=地元日系人が実現めざし=日伯イメージした空間も=式典、日本週間も計画

ニッケイ新聞 2007年10月10日付け

 エスピリト・サント州のヴィトリア日系協会(松永扶男会長)は、来年の日本移民百周年に向けて数多くの記念事業を計画している。日本庭園建設に加えて、記念式典、日本文化の紹介などを行う予定だ。中でも日本庭園は、他の地域には見られないほど様々なものを設置するほか、芝生で日伯両国を象ったスペースを作ることも考えられている。来年六月の移民の日までの完成を期待しているが、関係者からは「少なくとも着工できれば」との声も聞かれ、実現への道のりはけわしそうだ。
 計画の中で一番の目玉プロジェクトは、同協会の裏にある場所を使用して造る日本庭園。その他、来年の百周年にあわせ記念式典やスポーツ大会、日本文化の紹介なども計画されている。(ヴィトリア発=坂上貴信記者)
 日本庭園は敷地(約一二〇〇~三〇〇〇平方メートルを計画)を使用して、鳥居や灯篭、五重の塔、記念碑などを庭園内に設置する計画。二〇〇六年十月に建設予定地の場所を使って、日本庭園を作ることの許可をヴィトリア市議会から受けている。
 庭園の入口には鳥居を、入口すぐ右には日本語とポルトガル語で書かれた記念碑を置くことを考えている。また、庭園内には芝生で日本とブラジルを象った場所を作る。日本の形の中には灯篭や富士山、松、桜などを、ブラジルの形の中には灯篭や、サントス港の部分に笠戸丸の模型を置くことも考えられている。
 日本とブラジルの中を歩けるように石を置くことも考えている。また、日本とブラジルを往来できるように橋をかけたり、その他にも池を作るアイデアなどもある。
 庭園の建設は地元で行うことを計画しており、灯篭などの石材関係は土木建築技師の熊沢薫さん(一世)が一手に引き受ける。
 式典はリオ総領事館関係者が来られるようにと、七月中に行うことを計画しているが、内容はまだ決まっていない。スポーツ大会は現在ゴルフと野球などの大会を開催することを考えている。
 不定期に開催している日本週間は、同時期に一週間開催することを考えている。〇五年に開催した時にはリオ総領事館からの援助もあり、盛大に開くことができた。今回も同等の規模で行う計画。
 日本の古武道の柔道や合気道、空手、剣道などの紹介に加えて、寿司や牛丼などの日本食、日本の映画などの紹介を行う考えだ。
 その他にも、州議会の講堂を使用して着物や盆栽、生け花、琴や三味線などの日本文化に関する展示を行う。また、オペラ歌手の橘麗子さんを呼んで公演を行うことも考えているという。
 同協会は来年の六月十八日までの完成を希望しているが、現時点で目途は立っていないという。関係者は「来年の移民の日までになんとか日本庭園の工事開始ができれば良い方では」と本音を表す。一方で、「日本文化の紹介や日本週間は来年の六月中には開催できるでしょう」と可能性を話した。

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