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2007年度秋の叙勲発表=ブラジル内から4邦人受章=外国人叙勲も2氏に

ニッケイ新聞 2007年11月06日付け

 日本政府は三日、二〇〇七年秋の叙勲受章者を発表した。ブラジル国内からは今年、サンパウロ、リオ、レシフェ各総領事館管内で四邦人が受章。外国人叙勲でもサンパウロ、リオ管内で二人が受章した。各氏の喜びの声を伝える。

 【在サンパウロ総領事館】旭日双光章を受章した本村巌夫さん(サンパウロ市、78、鹿児島県)は「同章を受けたくてやってきたのではない。社会に貢献したかったからやってきた」と話しながらも、「受章は諸先輩のおかげ」と感謝を表した。
 ABC文化協会の創設から二十五年間、理事長や副理事を歴任し、地元日系社会の発展に尽力した。また、ブラジル相撲連盟及びABC相撲連盟の中核役員として相撲の普及、発展に貢献。自宅に「聖愛日語学園」を開設し、日系子弟に対する日本語教育にも努めた。
 同じく旭日双光章を受けた後藤隆さん(サンパウロ市、83、広島県)は「過去のことで、現在受けるのは理由が分らない」と述べたうえで、「受章は色々な支援があったからこそ」と淡々と話した。
 主な功績はブラジル日本商工会議所会頭をはじめ中核役員として、同会議所内部の組織化(ヨーロッパをモデルにした定款制度の導入など)を進めるとともに、事業活動の拡大、活性化に尽力。進出企業などの日伯経済交流の促進、ブラジル現地からの情報発信などにも力を注いだ。
 外国人叙勲で旭日小綬章を受章した玉置正さん(サンパウロ市、84)は「受章は恥ずかしいものだ」と自嘲しつつ、「社会のために貢献できたのかな」と喜びを噛みしめながら語った。
 玉置さんはサンパウロ州プロミッソン出身。小学校から剣道を始め、中学まで同地で過ごした後、マリリアへ移った。戦争中の一時期を除き、六十年以上剣道と関わり続けている。
 八カ国からなる南米剣道連盟の会長を創設当時から現在まで歴任。世界剣道連盟から認可を受け、ブラジル、南米各国でセミナーや試験などを行うなど、剣道の紹介や普及に貢献してきた。

 【在レシフェ総領事館】旭日単光章を受けた井関幸夫さん(バイーア州マッタ・デ・サン・ジョアン在、70、愛媛県)は「個人のためにやってきた事業が、植民地の役に立ったことが嬉しい。植民地に貰ったものだから代表して受取りたい」と嬉しさを滲ませながら話した。
 井関さんは同州ジュセリーノ・クビチェック植民地日伯文化協会会長として、各母県に嘆願書を提出して植民地内に電話を設置。野菜の輸出や移動などのためにアスファルトを舗装するなど、在住邦人の生活安定、向上に務めた。また、文協内に日本語学校を作り、子弟の日本語教育に尽くした。

 【在リオデジャネイロ総領事館】旭日双光章受章を受章した牧田弘行さん(リオ市、73、東京都)は「無学な私がこのような章をいただけるのはみなさんのおかげ。代表者として受取りたい」と弾んだ声で述べた。
 リオ日系協会会長や役員を歴任し、リオ州内の日系団体との交流活性化に貢献。また、リオ日伯文化体育連盟副理事長として、連盟の日本語教育、社会福祉に貢献した。
 外国人叙勲で旭日中綬章を受章したモアシール・バーロス・バストスさん(リオ州カンポ・グランデ在、68)は「幼少の頃から現在まで日本人と関わってきた」と振り返り、「受けることを知らなかった。受章は素直に嬉しい」と弾んだ声で語った。
 バストスさんはリオ日伯文化協会会長を十年間歴任し、モアシール・スレデール・バストス大学学長として日ブラジル間で留学や地元日本人を通じて友好親善に寄与した。

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