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輸出なるか=パラナ松の実=「農協間貿易」を目指し=商品探索から取引き試験段階へ=日伯両国間の新ビジネス

ニッケイ新聞 2007年11月07日付け

 全国拓殖農業協同組合連合会(JATAK)が二〇〇六年から行っている中期計画「二国間農協連携促進事業」が、新たな段階に進んでいる。同連合会本部監事の新井正信さん(有限会社果南花園代表取締役)が、十月十五日から二週間の滞在で来伯し、農家を訪ね歩いて、実際に新しく日本へ輸出できそうな農産品を探した。今後、試験的に両国間で新品目のやり取りを行っていく予定だ。新井さんは「基本的に、儲けることを前提に進めていきたい。両方にとっていい関係を築きたい」と抱負を語った。
 同事業は、五年間の中期計画で、昨年、その第一弾として、全伯の六十三日系農協の訪問調査を実施した。面積や組合員数、特産品、活動などといった基礎データを集め、日本で分析。その結果が、今回訪伯しての商品探索につながった。
 「若い後継者が食べていけるような形、つまり農協の助けとなるように、二国間で進めていきたい」と新井さん。
 同氏の来伯は、十五年ほど前から今回が四回目。ブラジルから訪日、自身が指導した研修生もサンパウロ州内に十人ほどおり、「若い人たちと組んで」デジタル写真とインタネットのメールを媒体に交渉を進める計画だ。
 滞伯中には、モジ、アルジャー、アチバイア、イビウナ、レジストロなどをまわり、花卉の分野では、提携事業によっては「ブラジルの農家の方が得するんじゃないかな」。日本はブラジル以上に花の種類が多く、それを輸入して増産、販売を行うブラジル農家の方に利があるという。
 新井さんは、「小麦や大豆、とうもろこしのような大規模なものでなく、商社も目をつけていない〃隙間〃のものを探したい」と話し、日本で注目を浴びそうなブラジル商品に、アサイのジュースやパラナ松の実を例にあげた。
 「〃隙間〃の多くは加工品だろうけど、必ずある。中国や東南アジアにはない、ブラジル独自のものがいいだろう」。今後、小規模な貿易からはじめ、徐々に組合レベルまで拡大していきたいと展望を述べた。
 来年二月にも、JATAK関係者が来伯して視察し、さらなる商品開拓を目指すという。
 馬場光男同会サンパウロ事務所所長は、「ブラジルの日系農家は、ビジネスベースの日本との関係で、将来的に何ができるかということがカギになる」と、農協間提携に期待を見せた。

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