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全伯コンテスト=日本語、独自のスピーチ=代表14人中日系3人=何を言おうとしたか=それが明瞭だった

ニッケイ新聞 2007年11月14日付け

 第十三回全伯日本語スピーチコンテスト(国際交流基金サンパウロ日本文化センター主催、西田和正所長)が、十日、同センターの文化スペースで開催された。全伯八カ所で行われた予選を勝ち抜いた、十四人の地域代表らが参加。各参加者は、何度も練習を重ね、流暢なまでにレベルを高めた日本語で、各々の体験に基づいたユニークなスピーチを披露した。今年、優勝を飾ったのは「戦後の荒廃から見事に発展した日本に行きたい」と自分の願いを話したイバナ・ソアレス・バンデイラさん(マナウス地区代表)。昨年に続く二年連続の出場で今回の栄冠に輝き、日本での研修を決めた。
 同コンテストには、ベレン、パラナ、南伯二州、サンパウロ、ブラジリア、リオデジャネイロ、マナウス、東北伯の八地区から、参加者が集い、スピーチに挑んだ。十四人中、日系人はたった三人だ。
 それぞれの発表のあと、審査員たちが弁論者に質問をなげ、スピーチの内容、表現力、語彙の適切さ、発音、話すスピード、聴衆意識度、返答の的確さなど様々な点が審査された。
 発表者らは、緊張した面持ちで檀上に上がり、礼。表情、声のトーンに変化をつけ、身振り手振りを加えながら、これまでの学習の成果を披露した。
 「日本語が自分の人生を変えた」というユリ・クーニャ・ファウルスティッチさんは、「将来は日本語を教えるか、翻訳をしているかもしれない」。エジミルソン・アントニオ・ダ・シルバさんは「黒人なのだから日本語ができるわけがない、と言われてきた」と学習当初を振り返り、「やる気があればどんなことでも叶う」と自身の信念を紹介した。
 レベルの高い激戦のなかから見事優勝したイバナさんは、シャルコー・マリー・トゥース病という、徐々に体の動きがなくなっていく障害を持ちながら日本語の学習を続けてきた。
 イバナさんは、第二次世界大戦で荒廃した日本の写真を見てから「そこから見事に発展した今の日本に行きたい」と言葉を習い始めた。「障害があっても日本語を続けてきた。度胸のいることをやる時には、悲観的なことを言う人の話は聞いてはならない。できなくなるから」と、強い思いを発表し、栄冠に輝いた。
 表彰式でイバナさんは「うれしかった」と満面の笑顔を見せ、「広島に行きたい」と期待を寄せた。
 審査委員長の松原礼子サンパウロ大学文学部日本語学科助教授は、講評で「毎年、内容が良くなっている」と喜びながらも、「難しい言葉を使う人が勝つわけではない。自分のレベルにあった語彙を選んでほしい」と留意点を指摘していた。
 コンテスト結果は次の通り(カッコ内はテーマ。敬称略)。【一位】イバナ・ソアレス・バンデイラ「耳が遠い蛙の話にならって」【二位】セシリア・ヒロミ・ハヤシ「私の歩く道」【三位】ロジェール・ロメル・フェレイラ・ジ・アラウージョ「私の特別な兄弟」【きれいな日本語賞】マルシア・アカリ・ヨシダ「叶えられた夢、これからの夢」【感動スピーチ賞】ブルーノ・シゲオ・ササキ「友達の価値」【表現技術賞】エジミルソン・アントニオ・ダ・シルバ「やる気のある毎日に」。

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