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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2007年11月22日付け

 日本国内で刑務所にいるブラジル人が何百人いるか知らないが、ブラジル外には少なくとも三千人が収監されているという。ブラジル政府の「少数民族と人権に関する委員会」で報告された。すべての外国政府が通知するわけでないので、「実際ははるかに多いかもしれない」とブラジル外務省在外コミュニティ課のルベン・アマラウ課長は二十日付けブラジル国営通信で明かしている▼最多と推測される国はスペインで四百七十人だという。さらに大半の国では、ビザなしの無資格滞在者が多いために実数が分からない▼この委員会で議論されたのは、国外で刑を執行されているブラジル人を本国に連れ戻して、ブラジル内で残りを執行させるかどうかだ。すでに亜国、チリ、カナダ、スペイン、ポルトガル、パラグアイ、英国、ペルーの八カ国とは条約が結ばれており、現在はアンゴラ、スリナム、メルコスール諸国、ポ語圏諸国と交渉中とある▼ブラジル政府としては、日本とも交渉をするようだ。もしブラジル籍収監者が本国に戻ったら、日本の被害者家族は納得するのだろうか。本日の日系社会面にあるように、「国外逃亡犯罪被害者をサポートする会」の山岡理事長は刑量差などを理由に、ブラジルに逃亡したブラジル人容疑者の日本への引渡しを求めている▼もっとも日本の刑務所の方が〝待遇〟がいいとの経験談が以前、日本のポ語新聞に掲載されていた。ブラジルは〇六年十二月時点で刑務所の被収容者が約四十万人もおり、超過密状態だ。事実、同国営通信にも「本国に帰りたがらないケースがある」と報告されている。どちらがより刑罰として機能するか、検討する必要があるだろう。(深)

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