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初の「代理処罰」で判決=日本の被害者側がコメント=「日本で裁いて」

ニッケイ新聞 2007年12月20日付け

 〇五年に静岡県湖西市で日系ブラジル人女性、フジモト・パトリシア容疑者が運転した車による交通事故で、当時二歳の娘を亡くした母親の山岡理恵さん(同市在住)がこのほど、強盗殺人と放火未遂の罪を問われたウンベルト・ハジメ被告の判決について、コメントを寄せた。同判決は今月十七日に出された。ブラジルでの代理処罰(国外犯処罰)要請に基づく判決は初めて。山岡さんは現在NPO法人「国外逃亡犯罪被害者をサポートする会」の理事長を務めている。
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 禁固三十四年五カ月の判決については、かなり重い刑が出たと率直に感じます。日本のメディアが注目しているので下手な刑は出せないのでは、と思っておりました。
 初公判から九カ月での判決は、かなりのスピードだと思います。年も押し迫って来年に案件を持ち越したくないと判断したと思います。また判決内容も現時点で出来うる最高の結果になったのではと思っております。
 今後のNPO活動の方向性や方針に変わりはありません。やはり、裁判の壁が問題です。今回のアルバレンガ被告も容疑を否認していますね。パトリシア容疑者も……。
 遺族の思いを届けるには、せめて裁判に立ち会いたいという気持ちです。たとえ、本人にこの声が届かなくても……。それにはやはり犯罪人の引渡しを要求します。
 被害者の三上さんは会見で「主人の命の重さに比べたら、決して納得いくものではない」と話していました。以前、三上さんとお話したときには、「裁判は聞きたいが、本人に会うのは正直怖い」とも言っていました。
 遺族によって、考え方は多少違いますが、「日本で起こした事件は日本で裁いてもらいたい」、これはみんなの願いです。