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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年1月11日付け

 昨年末、グァタパラ文協発行の新聞が、恒例盆踊りの踊り手が少なく寂しく感じた、と書いた。演奏の太鼓のほうは今伸び盛りの太鼓よさこい踊りグループが張り切って、不足がなかったが、観衆が多い割に踊る人が少なかったという▼その理由――もう、言い尽くされている感があるのだが、一世の高齢化、少子化、若い世代の大都市および日本への流出、などが挙げられている▼グァタパラ移住地は昨年四十五周年、戦後創設期の中軸だった人たちから、もう二世代若返った。太鼓担当もその世代である。「BON―ODORI」がブラジル語化している地方もあり、踊り手も非日系人を得れば、無尽蔵に近い、ともいえそうだが、そうはいかないらしい。数だけでは、どうにもならない、雰囲気がかもし出されなければ、それは盆踊りではない。そんなところが、日本の伝統郷土芸能なのだろう▼移住地では不振の反省があった。近隣との交流を密にしなければ、である。つまり、催しがあったら、互いに往き来しようということである。ブラジル最大の盆踊り大会と主催者が自負するアラサツーバの催しも、近隣から賑々しく来てもらわなければ成立しないようだ。「汎ノロエステ」と考えるのである▼グァタパラの新聞は、努力しなければ、近頃の折角の日本ブームに水をさしかねない、とまで言及した。たいへんな責任の感じようである。たかが盆踊りではないのである。今年は踊り手減少に歯止めがかかり、増勢に転じるよう願っている。(神)

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