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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年1月19日付け

 「角福戦争」や「サントリ―」の流行語が頻繁にマスコミを飾り、自民党の派閥は凄い力を発揮したものである。政策を競う側面もあったが、率いる領袖の魅力が第一で狙いは政権獲得である。「数は力なり」の故田中角栄は最大の派閥を率い政界に隠然たる影響力を行使し、弟子筋にあたる故竹下登も「創生会」を立ち上げ勢力を誇る▲ところが、小泉純一郎氏が首相になると状況は一変する。「自民党をぶっ壊す」は、派閥を壊す―の意味であり、内閣を組織するときにも、派閥の推薦を一蹴しサプライズ人事に終始する。このために田中―竹下系統に立つ最大の派閥だった橋本派も弱体化し、今の津島雄二派になる。だが―小泉政権が去ると共に再び派閥政治が復帰しそうな傾向が強い▲古賀派と谷垣派が合流することになり「宏池会」で再結集の申し合わせもある。この動きは注目すべきだし、象徴的と見たい。宏池会は故池田勇人が1957年に創設し師匠の陽明学者・安岡正篤(故人)が後漢の馬融の文からとって命名したものであり、いわば保守政治の主流である、参加メンバ―も61人と津島派に次ぎ自民第3位の大きさになる▲死刑問題で話題になった鳩山邦夫氏も、政界での人気が高く、所属する津島派の副会長に推す声もあるし、何となく―「派閥復活」の匂いがする。尤も―森派から町田派に変わった派閥から森―小泉―安部―福田と連続して4内閣が生まれたというのも、自民党の歴史からすれば、まったくの異常であって、こんな政治の流れから脱却したいの願いが込められた「派閥志向」なのかもしれないが。      (豚)

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