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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年1月29日付け

 「ねじれ国会」というのは、いろいろと珍現象を生み出す仕掛けらしい。先の臨時国会では、政府提出の新テロ法案が参院で否決され、与党が衆院で再議決しやっと成立したが、今の通常国会も揮発油税などの暫定税率法案を巡って与党と民主党の対立は激化する一方である。勿論、民主党や野党は、法案に猛反対している▼だが―民主党が反対する理由がよくわからない。確かに、この制度がなくなれば、ガソリンは安くなる。1リットルにつき25円も安くなると民主党は声を高くして叫ぶ。その通りなのだが、それでも欧州の英仏などに比べれば日本の石油は安い。理由の一つは、税金が安いからだそうだし、何よりも肝心なのは道路の補修費をどうするか?である▼この税金の総額は2兆9000億円に上り、うち9000億円が地方の自治体に配られる。この資金を使って道路の悪いところを修理し橋の架け替えも実施している。これだけでは不足なので政府は交付金を交付し「国民の道」を守っているのが現状なのである。先に全国の県会議員らが、民主党に反発し東京で決起したのも、こんな背景があるからだ▼この集会には44都道府県の県議が440人も参加し、石原慎太郎都知事も出席し、民主党批判の気勢を上げた。地方にとってはそれほどに大切な税金なのであり、これがなくなると地方自治の運営は極めて難しくなる。民主党が主張するように廃止するならば、これに代わる財源をどうするのかの真剣な議論があっていい。自民党の法案だから「反対」では筋が通るまいし、それでは国民からもソッポを向かれる。    (豚)

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