ホーム | 日系社会ニュース | 北海道協会=雪だるま祭り大成功=日伯の絆深める〝親善大使〟=冬の風物詩に大粒の汗浮かべ=来場者は8千人超

北海道協会=雪だるま祭り大成功=日伯の絆深める〝親善大使〟=冬の風物詩に大粒の汗浮かべ=来場者は8千人超

ニッケイ新聞 2008年2月12日付け

 重さ一トン、高さ二メートルの巨大雪だるまが目玉となったブラジル北海道協会主催の「雪だるま祭り」が十日午後、サンパウロ市ビラ・マリアーナ区の北海道交流センターで行なわれ、日本の冬の風物詩を一目見ようと、日系、非日系を問わず多くの人が会場に駆けつけた。総来場者数は県人会レベルのイベントでは過去例を見ない八千人超(主催者発表)。三十度近い暑さとすずなりの行列の中、それぞれが大粒の汗を浮かべて雪に触れ、「冷たい」「かわいい」と大きな声を上げて楽しんだ。北海道から送られてきた夢一杯の雪だるま達。移民にとっては郷愁を癒す珍しい機会になったのに加えて、両国の絆を深める〃親善大使〃として予想以上の大活躍だった。
 大沼宣信同協会副会長は十一日、祭りを振り返り、「安平町から最高の思い出を頂いた」と感謝しきりの様子。同副会長によれば、来場者の中には、「懐かしい」と涙を浮かべて雪だるまを抱く一世の女性の姿がみられた。また「五十二年ぶりの雪を楽しみます」と会場に駆けつけた戦後移民男性もいた。
 同イベントは移民百周年を記念して、「雪を知らないブラジルの人たちにも雪だるまを見せてあげたい」と北海道安平町(旧早来町)の早来(はやきた)雪だるま郵便局(真保生紀局長)やその関係者などが企画。北海道協会とその青年部が受け入れを担当した。
 巨大雪だるまは昼過ぎから頭と胴体を組み立てはじめ、午後一時半頃、首もとに大きなマフラーを巻いて完成。「バンザーイ」と真保郵便局長の大きな掛け声に続いて入場が始まった。
 巨大雪だるまは同センター外の通路奥に設置。その隣に小型雪だるま三十個を小さな切り株の上などに並べた。すし詰めの長蛇の列を抜けて巨大雪だるまに近づくと、ひんやりと冷たい空気が漂う。汗を浮かべた来場者の顔がほころんだ。
 「こんなに多くの人がきてくれるなんて」。来伯した企画チームの一人、渡邊匡人安平町係長は同センター前に続いた長蛇の列を前に笑顔。ピーク時の午後三時ごろには、地下鉄アナ・ローザ駅近くの大通りまで続く百メートルほどの長蛇の列ができていた。
 雪だるまの輸送経費など約三百五十万のほとんどを工面した真保局長は「積年の夢がやっと叶った。大成功です。帰ったら北海道の人たちにこの喜びを伝えたい」と興奮した様子。「夢は叶うものなんですね。お金はかかりますが」と笑顔で語っていた。
 会場には非日系のブラジル人親子らも多数訪れ、初めての雪の感触に大はしゃぎ。コスタンザ・イナシオさん(47・サンパウロ市在住)は「トロピカルの国にやってきた嬉しいプレゼント。日本からポジティブなエネルギーを運んできてくれたわ」と満面の笑み。カイリッキ・サントスくん(8つ・サンパウロ市在住)は「雪がこんなに冷たいなんてびっくり。雪だるまも初めて」と嬉しそうに語っていた。
 サンパウロ市在住の中瀬静子さん(二世、82)は「日本に行ったことがなくて、雪を見るのもはじめて」と感動した様子。母親と一緒に会場にきていた日系五世の増田真美ちゃん(五つ、サンパウロ市在住)は「つめたかった。雪だるまの顔がかわいかったです」と日本語で上手に話していた。
 会館内部では、真保局長らと来伯した安平町出身の演歌歌手、正木はじめさんが軽快なトークとともに演歌を披露し、会場を沸かせていた。
 また初めて日本からやってきた雪だるまとあって、日本の新聞社の特派員をはじめ多数のブラジルメディアも駆けつけ、熱心に取材していた。

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