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療育音楽の普及、四半世紀=〃タネ〃蒔いた赤星氏来伯8度目=意欲、情熱なお衰えず

ニッケイ新聞 2008年2月13日付け

 療育音楽の創始者で、東京ミュージック・ボランティア協会(TMVA)会長の赤星建彦氏(86)が七日、着聖した。今月二十一日まで滞在し、療育音楽を実践する老人ホームや知的障害児・者施設などを訪問する。赤星会長の療育音楽普及にかける情熱には並々ならぬものがある。ブラジルに〃タネ〃を蒔いてから四半世紀。どう育っているか、常に留意してくれている。視察・指導に来伯したのは今回が八回目。今回が最後だ、といい、ブラジル人へのなお一層の普及に意欲をみせた。
 同日午後、援協本部で開かれた記者会見に、赤星氏と同行した夫人で協会理事長の赤星多賀子さん、音楽療法士の佐藤綾子さんが参加。あわせてブラジル療育音楽ボランティア協会(ABVM、山下忠男理事長)の関係者らが出席した。
 赤星会長が一九七一年に始めた療育音楽とは、グループ主体の能動的音楽プログラムで、幼児から知的障害者、さらには高齢者の心身の健康、身体機能の回復・維持に役立つとされる。音楽にあわせて楽器を叩く、歌を歌うなどによって脳を活性化させ、呼吸機能やリズム感覚の改善などを柱にする。その効果は医学的にも立証されている。
 同氏の来伯は、三年ぶり八回目。一九八三年の初来伯を機に、同氏の療育をブラジル側で実践するABVMが設立された。同協会には「赤星式」の認定指導員である高尾もみぢさんほか、ボランティア計約二十人が、サントス厚生ホームや憩の園など多くの施設で活動している。
 療育で使う音楽はその国にあわせてさまざま。「好きな曲をみんなで歌って楽しむこと。気持ちを発散させることが大事」と赤星氏は説明する。
 アメリカや東南アジア各国でも普及活動を続けている赤星氏。「今回で最後だと思ってブラジルに来た。せっかくだから、多くのブラジル人を療育音楽に巻き込みたい」と意欲的に話した。
 十五日午前十時から午後四時ごろまで、ABVM事務所で音楽療法の研修会が行われる。同協会のボランティアに興味のある人はぜひ参加を、と関係者は呼びかけている。同事務所は(Rua.Domingos de Morais,814-s/34-SP)。電話(11・5572・4339)まで。

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