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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年3月6日付け

 百年祭当日まであと三カ月、その準備が最優先されるべき時期だ。これは衆目の一致した意見ではないか▼しかるに百周年協会の松尾治執行委員長が県連会長職を辞してまで準備に専念したい、とする気持ちは理解できる。ただし、次期会長に立候補した中沢宏一元県連会長との丁々発止のやり取りの中で公開討論会まで、という話になっているのは、いかがなものか▼裁判問題などは討論会をしたところで、そう簡単に結論は出ない。つまり、総会のある二十七日までズルズルと関心を引きずることは間違いない。そうなれば百周年の要たる執行委員長が今月いっぱい百年祭の準備に集中できない。資金集めや全体の調整をすべきこの時期に、自分が候補でもない県連会長云々の話題に引きずられるのは、百年祭全体にとって前向きな話ではない▼いまだ、六月二十一日のサンパウロ市式祭典のスケジュール詳細すら発表されていない段階だ。四月の日本側の百周年式典にブラジル側からだれが参加するのか、記念事業の資金集めはめどがたつのか、本番の会場にはどの団体から何人が出席するのかなど調整すべきことは山ほどある▼それにブラジル大手メディアは連日、日系社会や百周年について報じている。日本側も注目しているこの時期、コロニア内の〃コップの中の嵐〃のような争いに終始することは日系社会全体のイメージに関わる▼本当の意味での優先順位を考える必要がある。百年に一度の祭典が、万が一にも裁判問題や県連選挙で準備不足になったら子々孫々に笑われる。県連を本当に良くしたいなら、式典のあとでゆっくり議論したらいい。(深)

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