ニッケイ新聞 2008年3月7日付け
サンパウロ市の観光特区として毎週末多くの観光客や買い物客で賑わう東洋街リベルダーデ区、その日本風景観を演出する主役とも言える「すずらん灯」が、百周年式典までに全面修復されることが決まった。サンパウロ市役所が四日付け官報で発表した。移民百周年を記念して市照明当局(Ilume)が約百十万レアルの修復費用を投じて実施する。発起人は神谷牛太郎サンパウロ市議員とその関係者。神谷議員は「日本から大勢の人がやってくる今年六月を前に、きれいな街並みにしたい」と意気込んでいる。
すずらん灯は一九七三年にサンパウロ市が出資して設置した。リベルダーデ広場から目抜き通りのガルボン・ブエノ街、グロリア街などに計四百三十本、千二百九十個のランプがついている。
東洋街のシンボルとして多くの人に親しまれてきたが、現在はランプの欠損や笠の汚れ、破損などが目立っている。大型トラックが駐車する時などに衝突して傾いてしまった灯などもある。そのため以前から商店街関係者の間で、改修が必要との声があがっていた。
今回の構想では灯の支柱、電球を全部取り替える。ポリエチレン製の笠部分は、修復できるものは直し、全損しているものは新しく付けかえる。照明はナトリウム灯から水銀灯に変更。今までの淡い赤色の照明とは異なり、青白い光が界隈を灯すことになる。
修復施工会社は四月二十日前後に決まる予定。早ければ同月末には工事を始め、六月十八日の移民の日までに終える。修復後は記念セレモニーを行う案が関係者から出ている。
同プロジェクトは以前から同地区の景観再整備案を検討していたリベルダーデ区公安市民協議会(CONSEG、福井ニルトン会長)やリベルダーデ商工会(ACAL、池崎博文会長)とは別に進められてきた。
同地区で土産物屋を経営する日本人店主は「修復工事が短期間に終わるか疑問だが、街がきれいになるのは歓迎」と話している。
百周年を機に、東洋街が装いを新たにできる日は近いようだ。