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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年3月21日付け

 在日デカセギたちの在留資格(身分、地位、立場)に関わる話である。日本の法務、総務両省は、現行の外国人登録制度を見直し、日本人の(住民登録によって作成される)住民基本台帳と同様の「在留者管理」を導入する方針を固めている。ほぼ一年かけて検討を重ね、来年の通常国会に、法案を提出する見通しだ▼つぎのような順序になる。これまで各地方自治体(総務省)が発行していた外国人登録証は廃止される。そのかわりに中、長期滞在者には入国管理局(法務省)が、名前や顔写真の入った「在留カード」を発行する。外国人は、このカードを居住する各地方自治体に示し、台帳に登録する。自治体はこの居住情報を入国管理局に報告する▼現行の外国人登録は個人単位での登録であるが、新しい台帳制度では家族ごとに自治体が把握することになるようだ。日本人と同様、世帯単位の住民(居住)台帳の整備が行われるのである。外国人は他の地方に転出すれば、そこの自治体にカードを示す義務を負う▼日本政府はこれによって、利便性の向上を図るという。これまでは、子女の就学手続きや健康保険加入の資料の不備が目立った。この解消である▼しかし、管理強化の真のねらいは、カードによる犯罪の抑止だろうか。過去、出入国管理が法務省、外国人登録が地方自治体と、二元的だったので、在留外国人の生活、就労実態がつかめなかった。報告を義務づければ、情報を集中的、一元的に管理できるというわけだ。(神)

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