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初合同練習は「散々な出来」=サンパウロ市=百周年祭典の芸能パレード=「綿密な打ち合わせ必要」=本番まで、あとわずか2回

ニッケイ新聞 2008年3月26日付け

 「散々な出来。命をかけて全力投球しないと大変なことになる」――。移民百周年記念式典・第一部芸能パレードの初めての合同練習が二十三日、サンパウロ市アニェンビーのサンバ会場で行われ、練習を指揮した蛯原忠男・芸能委員長補佐は苦渋の表情を浮かべてそう何度も口にした。練習では、出演団体の隊列の乱れや時間オーバー、入退場の誘導指示の不手際など、多くの課題が浮き彫りになった。さらには、本番当日、時間が超過すれば、尻切れとなって晴れの舞台に出演できないグループが出る可能性も明らかになった。本番となる六月二十一日の記念式典まで残り九十日を切っており、今回のような全体練習は二回しかない。今回見つかった課題をきっちりと修正していく必要がありそうだ。
 六月二十一日、式祭典当日の午後零時半から約三時間かけて行う第一部では、約二十の芸能・音楽団体から七千人を超す出演者が登場、それぞれが入退場を含めて八分強の短い時間で、演奏や踊りを披露しなくてはならない。
 第二部の百周年式典は、皇太子さまなど多数の来賓が臨席する予定となっているため開始時間は変更不可能だ。そのため、第一部の各グループが出演時間を守り無駄なく入退場しないと、尻切れで出演できない団体が出る可能性がある。
 例えば、細長いサンバ会場の特性により、一カ所だけの公演では見ることができない客席がでてくるため、場所を変えて二度登場するグループがほとんど。その関係で、最後から二番目に登場する南中ソーランの出番は一度のみ。加えて、もしも前の団体が時間を超過した場合、出演すらできない。
 こうした重要な入退場の運営管理をするのは、ブラジル創価学会(BSGI)の青年ボランティアら約千人だ。練習にはその内百人が参加したが、「各団体の踊りや演奏内容を把握していなかったため十分な指揮がとれていなかった」と蛯原氏。今回の失敗をバネに、綿密な打ち合わせを重ねていくことになった。
 また、今回の練習で出演団体によって隊列がバラバラになったり、入退場時に混乱する姿が目立った。「横の人を見て位置をしっかりと確認してください」と何度も呼びかけた蛯原氏だったが、「隊列はピシッと揃えてもらいたいが、緊張して踊りに夢中になっている高齢者ばかりで難しい点もある」と苦心する胸中も明かした。
 この日の練習には、沖縄太鼓グループ、盆踊り、傘踊り、阿波踊り、百周年音頭、百周年記念曲踊り、空手、剣道、日系サンバチーム、ブラジル創価学会「太陽音楽隊」、第二部に出演する四竹(よつだけ)のグループから総計約千人が参加。午前、午後にグループを分けて入退場の仕方や踊りの隊列、演奏時間などを確認した。
 時間や出演人数の関係上、異なる芸能団体が会場を二分して同時に登場する案が検討されている。観客席によっては音が混ざって聞こえてしまう可能性があるが、「スピーカーの数を増やして音の向きを調整する。各観客席に対して局部的に音を出すようにし、出演グループの距離を最低でも百二十メートル空ければ音は混ざらない」と蛯原氏は断言する。
 現段階で第一部には、ラジオ体操、沖縄太鼓、太陽音楽隊、阿波踊り、天理鼓笛隊、響ショー、PL鼓笛隊、和太鼓、新世紀鼓笛隊、百周年記念音頭踊り、日系サンバチーム(ブロッコ・アリガトウ)、大河ダンスグループ、エイサー太鼓、健康体操、日本武道演舞(空手・柔道・合気道・剣道)、南中ソーラン、盆踊りが参加予定。
 ほとんどの団体が固定した位置で踊りなどを披露するが、音楽隊と各鼓笛隊はサンバ行進と同様に、コンセントラソンから入場、隊列を組んで行進していく。この際、音楽隊が前方に登場している他の芸能グループと近づきすぎないように調整することが課題。秒単位で歩くスピードを管理することが求められそうだ。
 この日の練習に参加しなかった他のグループは、四月六日に同様のリハーサルを行う。全グループを集めての合同練習は、五月十七・八日、六月十四・十五日に実施。「今回の練習の不出来から練習日を二日増やしたが、これでも足りないくらい」という。

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