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新幹線=日本方式の導入を要請=日本から柴田審議官ら官民8人=下院議長、官房長官と会談=W杯開業目指す

ニッケイ新聞 2008年4月3日付け

 ブラジルで検討が始められている高速鉄道整備計画に、移民百周年・日伯交流年を機に日本側が本格的に動き出した。先月三十一日、国土交通省から柴田耕介審議官やJR関係者ら八人が来伯、四月一日・二日にブラジリアの関係省庁を訪れ、日本方式の新幹線システム導入に向けて前向きな検討を要請した。同事業のために日本から官民の関係者が訪伯するのは初めて。ブラジル側はワールドカップを自国で開催する二〇一四年での高速鉄道開業を目指す。日本のシステム導入が決まれば、デジタルTV方式に続く新しい日伯経済振興の起爆剤になるのは確実、日伯両国の友好を象徴する一大事業となりそうだ。
 来伯したのは、柴田審議官含め国土交通省の関係者二人、JR東日本から二人、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から二人、社団法人・海外鉄道技術協力協会(JARTS)から二人の計八人。
 一行は一日夜、島内憲駐ブラジル大使と同事業を議員レベルで推進するジャイメ・マルチンス下議らととともに、アルリンド・キナリア下院議長と会談。二日にジルマ・ローゼフ官房長官と会合し、日本企業・日本政府が同事業に対して大きな関心を示していることを伝えた。
 両日同行した在ブラジル日本国大使館の高速鉄道担当、山本貴弘二等書記官は「日本方式に決まったわけでなく、今回はあくまで日本側の意思を伝えにきただけ。まだどこの国が(選考に)有利と言える段階ではない」と強調。
 また、同書記官によれば、ローゼフ官房長官は会合で、「日本の新幹線は歴史があり高い信頼を得ている。日本が関心を持ってくれるのはありがたい」と、好意的な反応を示した。
 柴田審議官は三十一日、聖市内で取材に応じ、「ブラジル側は今年の九月から十月ごろには施工入札を行いたい考えにあると聞いている」と説明。具体的な建設計画については「まだ決まっていない」とした。
 加えて、同審議官は三月に訪日したリオ州のセルジオ・カブラル知事と会談し、日本の新幹線システムを紹介したという。滞日中、カブラル知事は新幹線関連企業を視察するとともに、実際に東京―名古屋間を試乗している。
 今年二月にはキナリア議長を団長とするブラジル側訪日団が日本の関係機関で会合し、同事業を議題にあげている。
 二日付け下院広報によると、一行と会談したマルチンス下議は二〇一四年をめどにサンパウロ―リオ間の高速鉄道整備を進める計画を明らかにしている。「高速鉄道はワールドカップ開催中の重要な交通手段になるだろう」と期待する。
 高速鉄道建設事業は、同下議の主導で、すでに国家交通整備計画(PNV)に含まれている。日本からの資金投与の可能性は示唆されていない。
 交通省などの発表によれば、ブラジルの高速鉄道事業計画は、聖市とリオ市を結ぶ全長五百十八キロの高速鉄道網を整備、時速二百八十キロで駆け抜けるもので、総工費は百十億ドル(約一兆千七百六十億円)。
 既報の通り(一月三十一日付け)、当初の計画では〇九年までに工事入札、一〇年に工事開始、一五年の運行開始を目指していた。最初にリオ市―聖市間、続いて聖市―カンピーナス間が着工される計画。さらに聖市―クリチバ間、聖市―ベロ・オリゾンテ市間の導入も検討されている。
 ブラジルへの高速鉄道事業計画には、日本のほかに、韓国、イタリア、フランスなども興味を示している。日本のシステムが導入されれば、台湾新幹線に次いで、世界で二番目。
 昨年十二月三十一日に読売新聞が報じた記事によれば、リオ聖市間は山が多いため、高度なトンネル技術を持つ日本への期待が高まっているともあり、三井物産などを中心とした日本企業による「ブラジル新幹線」実現への動きが活発化していると報じている。
 一行は二日、帰国した。

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