ニッケイ新聞 2008年5月22日付け
【ロンドリーナ発=坂上貴信記者】パラナ州ロンドリーナ市日本移民百周年祭典委員会(吉井篤委員長)は十七日午後、メディア関係者を集め、工事が進められている日本移民広場(Praca da Imigracao Japonesa-TOMI NAKAGAWA)と展覧会「EXPO移民百ロンドリーナ2008」の進捗状況を報告した。工事は現在、六月二十二日の開所式を目指して急ピッチで進められている。吉井委員長は「皇太子殿下ご臨席のもと、開所式を行いたい」との意気込みを語った。
〇六年十月に死去した最後の笠戸丸移民、中川トミさんの名を冠した同広場は市内の中心部、約一万平米の敷地に建設されている。敷地は市役所から譲り受けたもの。
造形作家の豊田豊氏による高さ二十二メートルの記念モニュメントを中心に、四つの鳥居、お茶席などを設置する。カメラを設置して二十四時間体制で防犯にも務める予定。工事の期間は約八十日。すでに半分以上が完成している。
設計を担当したマリーゼ・セカット氏は、「小さい日本庭園などは設計したことはあるが、これだけ大きなものは初めて。配置を決めるのが大変だった。今回の設計には満足している」と語る。
説明会には佐藤宗一在クリチーバ総領事のほか、日本の皇宮警察関係者も来伯し、同広場内を視察した。佐藤総領事は「この広場の完成は、日本移民にとって良い顕彰になる」と嬉しそうに話した。
一方、イベントの目玉となる展覧会「EXPO移民百ロンドリーナ2008」は六月十八日から二十二日まで開催される。会場はパルケ・ゴベルナドール・ネイ・ブラガ(約七千平米)で、入り口には鳥居と魚のモニュメントが設置される予定。五日間で三十万人の来場者を見込んでいる。
十八日に展覧会の開会式が予定され、劇や武道の披露、七百人の子供たちのコーラス、二千人以上のパレードなどが計画されており、「見応え十分なものになる」と関係者は予測する。式典の最後に花火を打ち上げる準備もしている。
同展覧会は次の百年を見据えて、「伝統と文化、現代の文化、技術、ロボット、農業、出会い、会議、講演」をテーマに日本の伝統文化を紹介。会場の各所には七夕飾りや地元学生たちが作った折鶴などが飾られ、農工商部門の品評会、太鼓やカラオケ、YOSAKOIソーラン、盆踊りなども行なわれる。
中でも、ロボットショーは祭典の目玉になると予想されている。
吉井委員長によれば、展覧会と広場建設にかかった総費用は約七百万レアル(展覧会二百五十万レ、広場四百五十万レ)。ルアネー法から百二十万レアル、観光省から百五十万レアル、パラナ州政府、レアル銀行などのスポンサー、個人の寄付などで経費を賄っており、ほぼ工面できているという。
ロ市では飛行場、バスターミナル、地元スーパーなどにも七夕の飾りつけを行い、百周年を町全体で盛上げていく考えだ。
総合調整主任の宮本岩旺氏は「移民八十年祭から今回まで、同じようなメンバーで用意にあたっているために、準備は順調に進んでいる」と話す。
吉井実行委員長は「日系人口はブラジル国内で僅か三%だが、日系社会はかなり大きなものだ。今回の式典や展示は重要なものになる」と期待を込めて話した。