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日本の新幹線システムを=「ぜひブラジルに」――山之内JR東日本顧問側面支援語る

ニッケイ新聞 2008年6月18日付け

 山之内秀一郎JR東日本旅客鉄道(株)顧問が、このほど来聖、十六日午前、ニッケイ新聞社でリオ~サンパウロ間新幹線への日本の新幹線システム導入に側面から支援したい、と強調した。
 山之内氏によれば、リオ、サンパウロ間の距離は、新幹線を採用するのに最適な距離。両市および周辺の人口が合わせて二千万人余なら、利用者も十分に確保でき、ブラジル国民の所得向上もあいまって、今がチャンス。日本の新幹線システムを導入することによって、ブラジル側が意図するところは、必ず達成できる、と述べた。
 試算だと、所要時間は二時間半、使用料金は、日本の場合、航空機利用と同額、ブラジルも同程度にできれば採算が合う見通しである。新幹線始発着駅は、その町のショーウインドウ的存在であり、経済波及効果も大きいという。
 来る十月の国際入札についていえば、日本側は「商社」「車両などのメーカー」「メインテナンスの担い手」の三者が日本連合を組んで、疎漏なく事に対処すべきだとした。今回の来伯は、ブラジル側および在伯日本側の諸事情を視察、日本連合の活動をより円滑にしようとすることが目的である。
 山之内氏は、東大工学部卒。五六年旧国鉄入社、特急「白鳥」「かもめ」などのディーゼル化を進めた人として知られる。特急のスピード化に貢献した。六九年国際鉄道連合事務局に出向した国際派でもある。七二年以後は本社の要職を歴任、八七年国鉄分割民営化にともない、JR東日本副社長に就任、副会長、会長を経て二〇〇〇年から顧問。「今は、表の活動をする立場にない」といいながらも、鉄道にかける情熱はいささかも衰えていない。
 時間を割き、十五日、クラブ・エブライカで開催された徳江陽子ピアノリサイタルで、満員の聴衆に親しくあいさつした。

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