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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年7月17日付け

 全日系人の七割が集中するサンパウロ州で行われたサンパウロ市式典が三万人で、一割のパラナ州式典が七万五千人というのは、組織による動員力の差だ▼今年を自らの「花道」と宣言した上野アントニオさんと話していて強く感じたのは、パラナ州の日系人は基本的に農村生活者であり、サンパウロはサンパウロ市という都市生活者が中心になっている点だ▼やはり農村の方が伝統的な生活や気風、考え方が尊重され、都市は近代化の影響をもろに受けてよく言えばモダン、悪く言えば節操のない状態になりがちだ▼事実、パラナ州の中心団体リーガ・アリアンサの会長は長いこと地方農村部のリーダーが支えてきたし、今もその気風を保っている▼対するサンパウロ市文協では会社役員、大学教授や司法関係者などの、インテリ都市生活者に代わって久しい。都市生活者は個人主義的、核家族化する傾向がある。その傾向が日系団体の運営方針にも反映され、共同体意識が薄れてきているようだ▼「文化的な特質を残したまま統合する」ことが日系人の社会統合の理想だとすれば、若者が喜んで参加し、気がついたら日本的な特質が身についていた、という活動が広まることが理想だ▼今のところカラオケ、和太鼓、YOSAKOIソーラン、日本語教育などがその最先鋒かもしれない。そのような活動を継続させられる組織作りが必要だ▼サンパウロ州内には、二百以上ある日系団体を統合した組織がない。全伯組織をうんぬんする前に、まずは足下を固めることが肝要だ▼各線ごとにある連合会とサンパウロ市文協との、持ち回り連絡会議を定期的に開催し、次の百年に向けた体制作りをする必要があるのではないか。(深)

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