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湖西ブラジル人殺害事件=帰伯した妻らが警察で供述=食い違う容疑者との言い分

ニッケイ新聞 2008年7月19日付け

 静岡県湖西市の山道で六月十四日、ブラジル人ロドルフォ・ロケ・シャベスさん(当時35歳)が遺体で発見された事件で、事件後帰伯した被害者の妻と知人男性がマット・グロッソ州の警察に出頭していたことが分かった。同州の地元紙「Diario da Serra」が十六日付けオンライン版で報じている。日本では事件後知人のブラジル人女性が死体遺棄容疑で逮捕(後に処分保留で釈放)されているが、殺害に関する両者の供述は食い違っている。日本の捜査本部は帰伯した二人を国際手配する方針。事件が国外犯処罰問題に発展する可能性も出てきた。
 日本の報道によれば、刃物で胸を刺され頭部を殴られたシャベスさんの遺体が発見されたのが先月十四日。シャベスさんは七日、同県新居町にある派遣先で勤務後に行方不明になっており、この日に殺害・遺棄されたものと見られる。遺体発見後、派遣会社からの通報で身元が確認された。
 新居署捜査本部は二十八日、被害者の交際相手カリーナ・カト・マセド(29)容疑者を死体遺棄容疑で緊急逮捕。別居中の妻フレデイグラニア(34)の交際相手マウロ・タダウ・ヤマシタ(36)の車からシャベスさんの血痕が検出されたことから事件との関わりを調べていたが、二人はシャベスさんの妻の病気を理由に会社を退職、六月十二日にブラジルへ向け出国していた。
 静岡新聞によれば、三人は同じ職場で働いていた。
 マセド容疑者は、シャベスさん夫妻が容疑者宅のアパートでトラブルになり、妻が夫を刃物で刺したと供述。その後四人で二台の車に分乗して遺棄現場付近に向かったと話しているという。同容疑者は「車の中では男性は生きていた」と説明。殺害については否認している。
 これに対して、帰伯した二人の供述は異なる。
 「Diario da Serra」紙によれば、二人は現在マット・グロッソ州北部フェリス・ナタル市の農場に居住。クイアバから四百五十八キロ離れたベラ警察署へ出頭し、事件について供述し、無罪を主張している。
 警察の発表によれば、妻は、マセド容疑者とシャベスさんが自宅で口論となり、シャベスさんが刃物で妻と容疑者を脅した後もみ合いになり、容疑者がシャベスさんを刺したと供述。その後男性を呼んで病院に向かったが、その途中でシャベスさんが死亡したと話している。
 捜査本部は殺人容疑で帰伯した二人の逮捕状を請求するとともに、国際手配の手続きに入る方針だという。マセド容疑者は十八日、共犯として殺人容疑で再逮捕された。

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